高知学115 高知の村2  高知県凝縮の芸西村

芸西村は高知市から室戸岬に向かう途中にあり、太平洋に面しています.

人口は3,700人ほどで、高知の六つの村の中で、日高村に次ぐ多さです.

村の構成は、海岸部、農作地帯、山間部に分けられます.

高知県の構成を凝縮したように感じます.

なぜ村なのか、2006年、いま住んでいる夜須町を含め周辺町村が合併して香南市ができたとき、芸西村も参画していましたが実現しませんでした.

合併した夜須町、合併しなかった芸西村、13年経ってそう差はない気はしますが.

 

2019年9月22日 最終版

 

1.琴が浜

 

 

海岸を土佐くろしお鉄道、ごめん・なはり線が通っている.

東の奈半利から後免に出て、JRに乗り入れ高知に向かう.

芸西村にある西分駅で、外国のご婦人が二人、列車を待っていた.

高知へ行くのだそうだ.

丘の上に高層の観光ホテルがあるので、そこから歩いてきたらしい.

帰りは暗闇になるが、ホテルの明かりはよく見えるから迷うことはないだろう.

 

(西分駅)

 

昨日は白衣の外国人お遍路さん二人が待っていた.

 

(ホームから)

 

「海に近い」として予讃線の某駅が喧伝される.

しかし前を国道が通っているので、いささか感興がそがれる.

西分駅は、波の音と松を渡る風しか聞こえない.

 

(琴が浜)

 

前は5kmに渡って延びる琴が浜で、10cmくらいの大きさの小石の浜である.

波によって浜のかたちは大きく変わる.

何年か前の台風では、手前の砂利がすっかり流され、左の岩の下が深い淵になって、浜に下りることができなかった.

その後次第に砂利が積み上がって、今の形になっている.

 

2.農作

 

(和食駅から)

 

和食(わじき)駅から芸西村の中心部を見る.

底辺3km、奥行2kmの三角形の平地になっている.

芸西の最奥の集落は、向こうに見える山の先だ.

 

(ハウスの列)

 

農業はほとんどナス、ピーマンなどのハウス園芸である.

石油は暖房のほか、燃焼による炭酸ガスによって成長促進が行われる.

エアコンも使われる.

 

(ブルースター)

 

青色の星形の花を咲かせるブルースターは特産品である.

成長を制御するため夜間に灯りをつける.

野菜も花も直販市で安く手に入る.

 

(山道から)

 

芸西村の農業で問題は水である.

大きい川がない.

そのため山間に溜池が多く作られている.

狭い山道を上って、標高300mの山頂近くにあるジルゾウ池まで行ってみた.

 

(山上の水田)

 

山の上に水田があるのは、この池のおかげだろう.

 

(ジルゾウ池)

 

かなり広い池だが、水は澄んで幽邃な雰囲気が漂う.

 

3.最奥の集落

 

芸西村の山奥には、孤立した小さな集落が点在していた.

薪炭の生産が中心と思われるが、山肌を切り開いて田畑もつくられていた.

しかし町から直線距離でも8kmはある山の暮らしは厳しい.

そのため、1960年代から集団移転が取り組まれてきた.

消滅した集落は、板淵、大屋敷、ウルシ、シレゲなどである.

 

(久重)

 

久重(くえ)、白木山、道家(どうけ)は残っていて、コミュニティバスが運行されている.

以前は29人乗りのバスだったそうだが、2017年に乗ったときは、12人のバンが週2回、2往復であった.

今は5人乗りのレガシイで、要望のあったときに動くデマンド運行になっている.

海岸から何もない山道を30分かかって辿り着く山の中はやはり厳しいのだ.

久重が山の集落の中心点で、今は廃校になっている小学校があった.

傍に地域の戦没者の慰霊碑がある.

日露戦争では5名、大東亜戦争では15名の名が刻まれている.

戦死率は時期、戦地で異なり、玉砕ということもあるが、平均的に10%程度とみなされている.

そうすると、この土地から150名が出征したのだ.

 

(道家の氏神)

 

山のほとんどの集落は狭い尾根や谷間にあったが、道家は小川に沿って長く伸びる平地である.

水田が広がり「兎追いし…小鮒釣りし…」の風景であっただろう.

「村の鎮守の神様の 今日はめでたいお祭り日 ドンドンヒャララ…」でもある.

小学唱歌ワールドなのだ.

今は耕作放棄地だけで「田園まさに荒れなんとす」である.

 

 

4.芸西の住まい

 

高知県は海のイメージであるが、海の見える宅地は意外に少ない.

渚に近いと防波堤が邪魔するし、津波の心配もある.

崖の上は急斜面で宅地になり難い.

 

(芸西村・津野)

 

芸西村の農作地域を取り巻く台地は、傾斜の緩い斜面で見晴らしもよい.

 

(海が下)

 

そのため新しい住宅が増えている.

 

5.夕暮れ

 

(暮れる芸西)

 

高知県東部は、朝日は山に遮られて見えないが、西は海が開けているので夕陽はよく見える.

松林の中を線路が通っていて、西分駅は林の中である.

 

(シーハウス)

 

海に突き出たレストランのお客が、夕もやにシルエットになっている.

 

(土佐湾の夕陽)

 

(おわり)

 

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2019年9月20日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一