高知学109 高知から徳島へ.山間を通る「一直線」の道

高知から徳島へ.車では三つのルートがあります.

普通は高知道、徳島道の高速道路を通るルートで、2時間半ほどです.

京阪神への高速バスもこの経路ですが、一旦瀬戸内に出て再び山に戻り、吉野川筋を下ることになります.

第二は室戸岬を廻るルートです.

尖った三角形の二辺を通る大迂回で、時間はかかりますが、爽快な海の風景です.

第三は真っ直ぐに山地を縦断する国道195号線です.

これを行きましょう.

 

2019年4月28日 最終版

 

1.高知から大栃へ

 

(物部川.向こうの山間から流れ出る)

 

195号線は高知では物部川を遡る.

四ツ足峠を越えて徳島県に入る.

そして那賀川に沿って下る.

高知から西へ、物部川が山地から平野に入るところが土佐山田である.

 

(土佐山田駅前)

 

土讃線土佐山田駅前の十字路にある標識は、195号線で右高知、左徳島、とある.

徳島なら常識的には右に行って高速だが、国道的には誤りではない.

土佐山田から195号線を大栃まで、JR四国バスが運行されている.

その前身は国鉄自動車、さらに前は(鉄道)省営であった.

鉄道を敷設する計画があったことが関係しているのであろう.

 

(神母ノ木)

 

物部川上流の山々は豊かな森林である.

今はダムがあるが、昔は山奥の木材は大栃で筏に組まれ、神母ノ木(いげのき)まで下った.

ここで筏を解き、一本一本を人工の舟入川に流す.

この辺り、筏師などで大変賑わった町だったのだ.

右の丘の上には高知工科大学がある.

 

(アンパンマンミュージアム)

 

沿岸はやなせ・たかし氏の出身地であり、ご本人が計画したアンパンマンミュージアムがある.

傍に小さなホテル、奥には絵本の図書館がある.

アンパンマン施設は横浜などにもあるが、山の中で小さいけれど、心温まる施設ではないだろうか.

 

(大栃橋)

 

土佐山田から約20km、高知側最後の町が大栃である.

国道は北岸に移るが、その橋は風格あるトラスである.

しかし狭いため新しい橋を建設中である.

アーチ橋で、ガードマンに組立日程を聞いたので、また見に来よう.

 

(物部川河岸)

 

物部川は山を深くえぐって流れ、集落や道路は崖の上にある.

従って、両岸の行き来は狭い山道を上がり降りして、低い場所にある橋を渡っていた.

 

(仙頭大橋)

 

今は、高い土地を直接結ぶ橋がつくられている.

焦茶の錆色なので、通りがかりの人から役場に「錆びているではないか」と注意が入るという.

しかしこれはCuなどを含んだ耐候性鋼で、一旦表面に錆の膜ができるとそれ以上は進行しない.

塗装の必要がないのでメンテナンスフリーなのだ.

利用するどれだけの住人がいるかだが、森林もあるし、山越えをすれば安芸市の畑山温泉に通じる.

 

(山の果樹園)

 

奥に行くに従って平地が少なくなる.

昔はこの辺りでも焼畑農業が行われていたという.

今はユズなどの果樹である.

 

(物部川の渓谷)

 

次第に川幅が狭くなり、道路は谷につくられたコンクリートの土台の上を通る.

以前は森林鉄道もここに敷設されていた.

車を止めて川を覗くと、河鹿の声が聞こえてくる.

無人の谷間に見えるが、昔からの街道がずっと上の山腹にあり、集落が続いている.

 

(べふ峡温泉)

 

県境の峠の麓が別府峡温泉で、奥の峡谷は紅葉で知られる.

その先は1,300mまで上がる林道が続き、下ると大栃に出る.

車の多いシーズンは一方通行であった.

1,800-1,900m級の白髪山、三嶺の登山にも利用された.

 

(西熊林道から.2001年)

 

しかし崩落で10年この方通行止になっている.

復旧はもう諦めているのかもしれない.

 

(四ツ足峠へ)

 

道はヘアピンカーブになり、県境の四ツ足トンネルに入る.

昔の峠には、土佐、阿波の境界にまたがるお堂があるという.

それを偲んで、トンネル中ほどの壁面に祠がつくられている.

 

(スーパー林道入口)

 

トンネルの先が剣山スーパー林道の入口である.

50km余り、日本最長のダート道とされ、バイクのライダーに知られている.

しかしこれまた長い間通行止になっている.

 

(那賀町木頭)

 

峠を下ったところが那賀町木頭、以前の木頭村である.

かつて建設省の国道拡幅計画に対して村長が、今で何の不自由もないから不要だ、と発言した.

公共工事が全盛であった当時、政策に異を唱える反骨者と受け取られた.

山の中の道は若干狭いところもあるが難儀するほどではない(その後拡幅したのかもしれないが).

しかし集落の中に対しては、大幅な立ち退きをするか、人の住まないところにバイパスをつくるか、ということになる.

 

(図書館の前)

 

文化センターにある図書館に行った.

実は木頭への目的は、村史により付近森林軌道の経緯を知ることにあった.

その後、図書館手づくりの町内マップをもらい、ギャラリーのあるカフェで遅いランチをとった.

窓から対岸の護岸工事が見える.

殺風景なコンクリートではなく、石積み風である.

 

(護岸工事)

 

ここから海岸近くに出るには、ダム湖の横を延々と通って、これまでと同じくらいの時間がかかる.

徳島市内までバスがあるが、3時間余りを要している.

徳島県といえば、吉野川沿いの田園と夏の阿波踊り、というのどかなイメージである.

しかしこれは北のごく一部で、大部分は深い山々である.

特に高知との県境一帯は、四国に残る数少ないツキノワグマが安心して暮らせる?無人の地域である.

縦貫道は続くが、来た道を戻る.

 

(ゲートボール)

 

運動場ではゲートボールをやっている.

町内福祉施設に来ている人たちかもしれないが、元気な人が多いのだ.

 

(ローバの休日)

 

(おわり)

 

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2019年4月23日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一