高知学105 2018年バースディ切符の旅2. 松山から高知

JR四国のお得なバースディ切符、四国内乗り放題の旅、12月が誕生月なので毎年利用しています.

その1では高知を出て西へ、窪川から予土線、昔が残る卯之町を回って松山に至りました.

第2回は松山から東へ、今治、高松、琴平、そして高知に戻ります.

 

2018年12月30日 最終版

 

松山1737発 しおかぜ28号 今治1812着

 

(セキ美術館)

 

松山ではセキ美術館をよく訪れる.

道後温泉に近い、閑静な住宅街の中にある個人の美術館である.

品の良いコレクションであり、また静かなのでゆっくり眺められる.

エントランスを写したいと思って係の女性に断ると、フラッシュを光らせなければ、館内何を撮っても結構です、との返事であった.

 

(松山駅前)

 

JR松山駅前には高知行バスが止まる.

高知から一日かけてやってきたが、このバスに乗れば2時間半で戻れるのだ.

高速道路のない昔から、高知・松山間の交通はバスであり、昔は国鉄特急バスが一時間ごとに運行されていた.

今治で泊る.

 

(今治駅)

 

今治の産業はタオルもあるが造船であり、日本食研の調味料もここだ.

来て見ると、四国の中でもっとも成長しつつある都市のように感じる.

駅前にはビジネスホテルが林立している.

町のビジネス度は、東横インの有無で測れるように思う.

松山、新居浜にはあるが、今治にはないので、そこまでは至っていないらしい.

 

(今治焼鳥)

 

今治の名物は焼鳥だが、それも炭火焼ではなく、鉄板の上で押さえつけて焼く.

思うに、造船所では鉄板の切れ端がどこにでもある.

昔の船は鉄板同士を結合するのにリベットを使っていた.

鋲をコークスの火で真っ赤に加熱する.

親方が長い火箸で投げ上げる.

上では手桶のようなものでこれを受け留め、穴に差し込む.

見たことがあるが鮮やかなもので、5階くらいの高さまでこれができたというからすごい.

反対側にいる職人が空気ハンマーで叩いて留める.

冷えると鋲が縮み、堅く締結される.

現場には常に鉄板と高熱があったのだ.

焼鳥屋はインターナショナルであり、連れと共の人もいるが、一人でもふらりと入ってくる.

 

 

今治847発 しおかぜ10号 伊予西条908着

 

(西条)

 

増築された西条の鉄道歴史パークに行く.

JR、西条市も関係しているが、国交省関連の日本ナショナルトラストが、宝くじの資金でつくった施設だ.

屋内の機関車などの展示に加えて、外には新幹線と在来線、両方を直通するフリーゲージトレインの試作車が置かれている.

なぜここにあるのかだが、予讃線で長く耐久試験を行ったためで、山陽新幹線に乗り入れる構想もあったらしい.

 

伊予西条1019発 しおかぜ12号 高松1154着

 

(高松市内)

 

高松の三越のデパ地下は四国一賑わっているし、丸亀町の商店街は再開発の成功例とされている.

 

高松築港1330発 高松琴平電鉄 琴電琴平1432着

 

(高松築港駅)

 

高松から琴平へ、高松琴平電鉄に乗る.

ターミナルは城址の石垣の傍で、ホームの下の堀は海と繋がっていて、魚が泳ぐのが見える.

電車は京浜急行と、名古屋地下鉄の小型車である.

この「ことでん」、バブルの頃に、3路線が集まる瓦町駅の大ターミナル化を目指し、そごうなどが入る建物をつくった.

どう見ても過大な計画で、破綻した電鉄は民事再生を行うことになる.

琴平線、線型は良いし、途中まで複線用地がある.

ところが揺れがひどく、レールの継ぎ目ではがたんと落ち込む.

道床の突き固めが不十分なのだろう.

JR四国のマルタイをレンタルできればよいが、あいにくとゲージが違う.

レジャーランド、レオマへの下車駅も一過性であった.

近年、イオンモールの傍に駅が新設されている.

 

(金毘羅)

 

ここまで来ればこんぴらさん.

山に社殿が見えるが、時間がないので途中の大門まで.

五人百姓の飴屋もそろそろ傘をたたんで店仕舞い中である.

 

(大門)

 

それでもハードな石段登りの人が絶えないのは、さすが四国一の観光地である.

麓の酒屋で4合瓶を買う.

時間によるのかもしれないが、以前来たときに見た、高い酒爆買いの某国団体の姿はなかった.

 

琴平1707発 南風17号 後免1836着

 

(琴平駅)

 

JR琴平駅では、宿泊施設のある国営満濃池公園への送迎バスを待つ外国人若者たちが列をつくっている.

瀬戸内は塩田があったくらいで、降雨量が少ない.

満濃池は、この地出身の空海が工事に携わった、日本最大の灌漑用溜池である.

 

(イベント列車)

 

「四国千年ものがたり」のイベント列車が停まり、乗客は弁当を食べている.

乗ってみたいが、スタッフの仕草が丁寧過ぎて、見ていて少し尻こそばゆい.

それほど高い列車ではないのだが.

 

琴平1707発 南風17号 後免1836着

後免1837発 ごめん・なはり線 夜須1900着

 

乗りなれた夜の「南風」で後免、そして夜須へ.

切符はあと1日残っている.

そこで翌日、ごめん・なはり線終点の奈半利へ40分.

高架ホーム傍の食堂で、パスタとワインをやって帰る.

 

(おわり)

 

2018年12月24日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一

高知学104 2018年バースディ切符の旅1. 高知から松山

JR四国には、全線(特急料金および土佐くろしお鉄道含む)3日間乗り放題になる「バースディ切符」があります.

普通車は9,300円、グリーン車は13,000円で、その月に誕生日を迎える人が対象ですが、同伴者も2人まで同じ料金です.

格安切符として「青春18切符」が知られていますが、これは特急は利用できません.

東海道、山陽本線なら列車の本数が多いので、東京を早朝に発てば、普通電車を乗り継いで下関近くまで行くことが可能です.

しかし四国では普通列車の本数が少ない上、特急の通過待ちで停車時間が長く距離が伸びません.

12月が誕生月なので、毎年恒例になっているバースディ切符の旅に出かけました.

 

2018年12月21日 最終版

 

夜須726発 ごめん・なはり線 後免749着

 

冬でまだ朝焼けの残る時間、最寄りの夜須駅を出発して土讃線後免に向かう.

 

(朝の後免)

 

後免駅は通学時間.

手に手にスマホを握った生徒たちで、高知行普通列車は混んでいる.

以前は公立高校に学区制があり、乗換に不便な高校に通う生徒が、寒風をついて野中の道を自転車を走らせる姿をよく見かけた.

いま学区制はないので、その分鉄道が通学生で賑わう.

 

後免809発 しまんと1号 窪川926着

 

(しまんと1号)

 

高松を早朝に出る、土讃線下り特急一番の中村行がやってきた.

側線には線路を突き固めるマルチプルタイタンパー(マルタイ)が留まる.

そこは痩せても(失礼ながら)JRである.

四国でグリーン車があるのは予讃線、土讃線だけなので、バースディ切符は普通車にした.

 

窪川940発 予土線 北宇和島1211着

 

(窪川)

 

窪川からは、宇和島に向かう四万十川沿いの予土線である.

国鉄末期につくられた小型廉価版のキハ32であるが、「鉄道ホビートレイン」としてお馴染みの新幹線スタイルになっている.

 

(ホビートレインの車内)

 

新幹線の椅子が2脚備えられている.

 

(川奥信号場)

 

窪川を出てしばらく、川奥信号場で予土線と中村に向かう土佐くろしお鉄道が分岐する.

真直ぐ西に向かう方が中村、右の山に向かって曲がる方が予土線のように感じるが、逆である.

中村への線路は、この先トンネルの中をループ線で一周して下り、この駅の真下に出てくるのだ.

 

(江川崎)

 

終点まで2時間半かかるが、予土線の車両にはトイレがない.

といって、緊急下車すると次の列車まで4時間近くある.

江川崎では20分停車する.

トイレ休憩である.

 

(四万十川)

 

予土線は四万十川に沿って走るが、道路より高く、川岸に近づいているので見晴らしがよい.

列車が緊急停止し、運転士が後方に走った.

けものでも刎ねたかと思ったが、戻ってきた運転士によれば、沿線で草刈りの老婦人が斜面を転げ落ちるのを見たらしい.

大事はなかったようなので、すぐ発車した.

列車の終点は宇和島だが、一つ手前の北宇和島が予讃線との分岐駅である.

ここで普通列車に乗換えて松山方面に向かう予定である.

接続の時間は2分であるが、先ほどの停車は別として、行き違い列車の遅れでこの列車は5分の遅延である.

運転士から「北宇和島で乗り換える方はいますか」とアナウンスがあったので申し出ていて、一人だけだが予讃線列車は待っていた.

 

(北宇和島)

 

北宇和島1213発 予讃線 卯之町1247着

 

もっともダイヤには余裕があるようで、遅れはすぐに取り戻す.

 

(キハ54)

 

予讃線の車両は、やはり国鉄末期につくられたローコスト版のキハ54である.

勾配用にエンジンが2基搭載されているので、車体が普通より1m長い.

しかし文字通りステンレスの箱で、そこにユニット窓をはめ込み、両端に戸袋を省略できる折戸の出入口があって、端から端までずらりと席が向かい合っている.

変速機は廃車の再生品だし、冷房はバスのものという.

シンプルの極致だが、何もない室内はかえってロビー風である.

卯之町で下車する.

 

(開明学校)

 

この辺り、卯之町、大洲、内子と古い町が並んでいる.

卯之町には、江戸末期に蘭学者、二宮敬作が住み、シーボルトの娘、イネが学んだ.

開明学校は明治15年に建てられた小学校である.

離れたところでは、昭和3年建築の小学校木造校舎が保存され、長さ109mの廊下では「雑巾がけレース」が行われる.

以前、拭き掃除にトライしてみたが、すぐ腰が痛くなってダウンした.

 

(卯之町)

 

街路では中学生たちが集まっていたが、中学生、小学生とも例外なく挨拶をしてくれる.

修復中の民家にバーの暖簾がかかっていたので、昼過ぎだが一杯ひっかけるか、とくぐった.

マスターは今の時間、ピザなら焼けるという.

待つ間、グラスワインを飲んで、馬鹿話をした.

小学校は保存だけでなく、体験授業をしたいね.

宿題をやって来なければ廊下に立たせる.

体操もやるが、男女とも昔の体操着をレンタルすること.

造り酒屋で古酒を買った.

次に来るときは、漬物が名物の古い旅館で泊ろう.

 

卯之町1418発 予讃線 宇和海18号 伊予市1509着

群中港1514発 伊予鉄道 松山市1538着

 

予讃線で伊予市まで行き、伊予鉄道終点の郡中港に乗り換える.

駅名は違うが、両駅は道を隔てているだけである.

 

(伊予鉄道 岡田)

 

伊予鉄の車両は京王線の古手で、本線と井の頭線の両方があり、多くみかん色に塗られている.

中心の松山市に向かう.

 

(井の頭線渋谷?いや松山市駅)

 

 

(2 につづく)

 

関連記事リンク:

79 四万十川の中流

61 呑み鉄、ごめん・なはり線

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2018年12月18日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一

高知学103 高知の秘境、海と山.高知学総集編4

簡単には行けない秘境、行く行かないは別にして、だれしもなにかしら謎めいた興味を持ちます.

テレビでも「こんなところに…」「ぽつんと…」など、知られざる秘境の番組が多数見られます.

高知学でも「秘境」に関したテーマをよく見ていただいています.

高知学総集編の4、高知の秘境です.

 

2018年12月12日 最終版

 

 

1.2種類の秘境

 

四万十町・小鶴津

 

「秘境」には、「行き易い秘境」と「行き難い秘境」の二つがある.

前者は祖谷や白川郷などである.

もともとは行き難い秘境であった.

しかし人気が高まるにつれ、道路が改修され、観光バスが往来し、旅館が増え、失礼ながらどこが秘境?の状態である.

後者は今も秘境状態を保っているところである.

知られてもいないし、観光スポットがあるわけでもない.

場所によって危険も伴うし、観光収入は期待できない.

したがって自治体のホームページや観光協会のパンフレットにはない.

鉄道写真の撮影地ガイド本に「ここでは熊に注意」との記載があった.

読者から出版社に、「熊に会ったらどうしたらよいのか」と問い合わせがあったという.

長いダート道の林道が地域で紹介されていた.

キャンピングカーが夜に入って、谷間へ転落した.

 

 

2.海の秘境

 

高知県東部は山が海岸に迫って、集落も国道も岸にあるため、海の秘境はない.

しかし西部は、沈降するリアス式海岸なので断崖が続く.

その中のわずかの隙間に漁村があるが、断崖を行くか、山から屈曲する道を下りるしかなく、秘境状態となる.

 

(黒潮町・鈴、下に港が見える)

 

(鈴漁港)

 

3.山の秘境

 

山奥で車の往来に時間がかかると、今の時代、なかなか住み続けることが難しい.

高知県中部の仁淀川町、越知町、佐川町は、一帯の山上に集落が点在している.

 

(仁淀川町、椿山)

 

椿山(つばやま)は最後の焼畑農業の地として知られ、まさに秘境なのだが、愛媛県境に近い山奥で到達が大変である.

いま一所帯だけが残るという.

 

越知町・稲村

 

越知町の仁淀川沿いのように、各集落を結ぶ道路が山上で繋がっていると、共同作業が可能になって住みやすくなる.

それにしても、なぜこんな高いところに住むようになったのか、疑問をもたれるかもしれない.

今は大規模な土木工事で掘ったり積み上げたり、川沿いに道路がつくられる.

しかし昔は渓谷の人力による開削は不可能で、道路は山上にあった.

昔の小学校教科書にあった物語である.

江戸時代、大分の耶馬渓は絶壁が続き、人馬の往来が不可能であった.

一僧侶が洞門(トンネル)を掘ることを考え、托鉢によって資金を集めた(いまのクラウドファンディング).

石工と共に掘ること30年、今も残る洞門が開通した.

 

4.佐川町、峯

 

仁淀川流域一帯に沢山ある山上の集落の一つ、仁淀川町、佐之国を訪ねることにした.

佐之国、どんな国なのか.

 

(佐川町、農協祭り)

 

佐川町から川沿いに古畑、峰の集落を通り、山越えで行くルートを試みる.

ただ、峰から佐之国に至る道があるのかどうかは不明確である.

折柄、佐川町内は農協祭りである.

大小の農業機械が展示され、農器具、野菜などの即売会に人が集まる.

特売の墓石の展示もある.

 

(古畑.峰の集落が上に見える)

 

川を遡ると突き当りが古畑で、その先が峰である.

 

(古畑)

 

古畑の集落内の道は、崖を削ったり、桟道を設けたりして、車の通行が確保されている.

 

 

道はジグザグに折り返して山を登る.

 

(峰の畑)

 

山上の集落はさすがに見晴らしがよい.

老男性が畑の手入れをしていた.

家がここにあるが、いま住んでいるのは高知市内で、ここには畑仕事に来るという.

このような通勤?がいまどこの山でも多い.

 

(峰の奥)

 

ツーリングの地図では、集落の最奥から佐之国に至る道が続いている.

ただし1/25,000の地図では車道が途切れている.

男性に訊くと道はないとのことだったが、時々訊ねられという.

「秘境」探訪の人がいるのだろう.

実地に行ってみないとわからないが、入口近くでも道には落葉が積もり、引き返した方が無難そうだ.

 

 

峰には佐川町のコミュニティバスが金曜に運行されている.

4本あるから、仁淀川町のバスの週に1往復より多い.

 

4.山の秘境・佐之国

 

(引き返して佐之国へ)

 

峰から佐川町内に戻り、改めて越知町内を経て佐之国に向かう.

 

(佐之国)

 

峰と同様に見晴らしの良い南面である.

農作業のご夫婦を見受けたし、道沿いの畑を見回っていた老婦人から、小さな赤いみかんを頂いた.

ママレードにしたが濃厚な味であった.

 

(佐之国の山)

 

 

連なる山の向こうが峰の集落であり、直線距離では2kmだが、道があったとしてもかなりの難路と思われる.

大体二つの集落は異なる自治体であり、結ぶ道は必要ないのだ.

 

(不入山林道)

 

尾根沿いだからトンネルはないだろうが、このような幅の道は覚悟しなくてはならない.

軽なら通れるが、途中で止まってもドアは開けられない.

 

(佐之国の入口)

 

集落の入口に人形が何人かいて、水車を回し、臼をつき、農林の作業をしている.

別れて山を下りた.

 

 

(おわり)

 

関連記事リンク:

高知学総集編3 高知の暮らし

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2018年12月6日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一