高知学47 四万十川 その3.下流から河口の中村へ

高知を代表する観光アイテムとして四万十川があります.

四国では、高知の奥から早明浦ダムを経由して徳島まで流れる吉野川の方が長いように思えます.

しかし四万十川は山の間を緩やかな勾配であちこちと蛇行するため、それより長く約200kmあります.

四万十川の河口が中村です.

 

2016年7月 初版

2019年7月26日 改訂版

 

 

1.沈下橋

 

 

沈下橋は四万十川を代表する風物である.

流れや流下物に逆らう欄干がなく、増水のときは水面下に沈む.

降雨量が多く川の増水が頻繁な高知でよく見られる.

川幅が広かったり、谷が深かったり、橋脚の高い架橋工事が困難であった時代につくられた.

四万十川の下流は川幅が広いため、長い沈下橋が見られる.

 

iwamatinnkahasi

(三里沈下橋)

 

増水のときはもちろん渡れない.

しかし多少水を被ったくらいなら渡れるという.

その際のコツは、対岸のたもとの一点を見つめて歩き、足元を見ないことだそうだ.

下を見ながら歩くと、流れに惑わされ、方向を見失って踏み外す.

まあ真似しない方が良さそうだが.

 

takeyasikihasi

(内川川 古尾)

 

四万十川の支流には可愛い沈下橋が見られる.

対岸に立つ家や野良に向かう、個人的?な橋である.

上流に廃校になった小学校があった.

大きい運動場や体育館があるが、プールだけがない.

近くに居た人に訊くと「みんな川で泳いだからね」との答えであった.

 

takeyasikitiisanahasi

(内川川、竹屋敷)

 

最小の沈下橋は丸木橋の発展形である.

車で橋を渡っても、右にも左にも行けそうにない.

 

2.水難事故

 

毎年、四万十川のどこかで水難事故がある.

事故まで至らなくても、泳いでいた若者がやっとの思いで岸にたどり着き、倒れ込む姿を見る.

想像してみてもいただきたい.

沈下橋をはるかに越える激流が、川幅一杯に流れる光景を.

昔は降雨後一日で増水したが、山の保水力がなくなったので、今は半日で増水する.

それだけ流れは激しくなる.

そのような激流の状況や、川での危険の対応を記した観光パンフレットはない.

あるのは、のどかな風景、河原で無邪気に遊ぶ風景である.

しかしその中に危険が潜む.

激流で川底が削られ、急に深い淵ができて、渦が水面下に巻いている.

流された砂利が部分的に積もり、踏み込むと崩れる.

静かな川面からはわからない.

川には、人を狙って引き込もうとするカッパが住んでいると思った方がよい.

カヌーやラフティングでは、ライフジャケットを付け、インストラクターが時間をかけてティーチングを行うのだが.

 

 

3.中村

 

asanosimanto

(中村.朝の四万十川)

 

中村は高知県で2番目に大きい町である.

高知から中村へ特急で1時間40分、高松には2時間だからそう変りない.

東西に長い高知県の西部の中心となっている.

特に産業はないし港もない.

江戸時代から行政出先機関と商業の町であった.

今も国や県の出先合同庁舎があり、企業の出張所もある.

ホテルも多い.

そんなこともあって、夜の居酒屋は数十近いだろう.

 

nakamurayoru

(夜の中村)

 

nakamuranomati2

(昼の中村)

 

通りごとに品の良い街灯が並んでいる.

ただ夜は良いが、昼は電柱と電線が見苦しい.

 

4.河口

 

simantokakou

(四万十川の河口、遠くに中村)

 

中村は河口の町だが、実際の河口は6kmほど先である.

川幅は広く1kmほどある.

高知の居酒屋メニューの定番は、テナガエビの唐揚げとアオノリの天ぷらで、二つとも四万十川の産物である.

ところが、いまアオノリ、アオサノリは非常に不作だという.

生育には塩分が必要だが、河口に土砂が堆積し海水が流れ込まないためだそうだ.

 

5.孤独な海水浴

 

irinonohama

(入野海岸)

 

中村の東、入野海岸は長い白浜と松林が続く.

遠浅で、長い波が寄せ、サーフィンのスポットである.

ただ離岸流があるため、遊泳禁止になっていた.

再チエックの結果、西の端は可能ということになり海水浴場が開かれた.

しかしだれもいない.

監視小屋の二人の若者は所在なげである.

近付くとむっくり起き上がったが、海水浴客でないと見て再び寝転がった.

その後サーファーがサメに噛まれる事故が起こってはいるが.

 

hitorinooyogi

(布漁港)

 

中村は足摺岬への入口である.

国道は山の中を通っているが、河口から海岸沿いに狭い道を辿ることもできる.

小さな漁港の傍に浜があって、女の子が一人、浮輪で水に入ったり砂を寄せたりしている.

監視のテントでラジオを聞いている男性に「一人では寂しいね」と話しかけた.

「去年までずっと兄ちゃんと二人で来ていたのだが」との答えであった.

兄ちゃんは外に行ったのか、それとも「妹なんかと」ということなのか.

 

関連記事リンク:

知られざる断崖と入江.大月

こんなところに?美術館、公園…

高知学トップページに戻る

 

(おわり)

2016年7月15日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一