高知学116 紀伊半島の山村を訪ねて高知と比べる(その1、北山川)

高知には六つの村があります.

しかし四国では愛媛、香川には「村」がなく、徳島に一つあるだけです.

関西では大阪、京都、和歌山に一つづつで、兵庫にはありません.

しかし奈良県には七つあります.

和歌山で一つの北山村は、全国でただ一つ県の区画で飛び地になる自治体であり、和歌山の区域にはなくて奈良県と三重県の中にあります.

昔、付近の材木は筏で熊野川を下り、河口の和歌山県新宮に出していたのでその結びつきが強いのでしょう.

一度、飛び地状態を解消するかどうか住民投票を行ったところ、否決されたということです.

 

(橿原市から.山の向うは大阪)

 

2019年10月28日 最終版

 

1.高知と奈良

 

小さい単位の「村」が残る方がよいのか、合併して「町」になる方がよいのか、これはいろいろだ.

いずれにせよ、「村」に関して高知県と奈良県は似ている.

奈良というと鹿が遊ぶ東大寺や春日大社を思い浮かべるが、これは北のほんの一部で、大部分は修験道の行場でもある深い山である.

また、高知というとカツオやクジラが遊弋する海のイメージだが、その83%は山である.

両方とも山国なのだ.

 

(奈良県・伯母峰峠から)

 

高知県で最小の村、大川村は2019年現在で人口385人.

奈良県で少ないのは、野迫川村361人、上北山村427人で、飛び地の北山村は432人である.

多い方は十津川村3,165人で、高知学115 に記した高知県芸西村3,714人と近い.

しかし人口密度となると、平方km当り十津川村4.7人、芸西村93.8人と、奈良が格段に「過疎」である.

十津川村は奈良県の18%の面積を占めているのだ.

 

2.紀伊半島の縦断

 

明治時代に紀伊半島を縦断する鉄道として、紀の川沿いの五条から海岸の新宮まで、五新線が計画された.

まず五条から20kmほどの区間で工事が始まったが、結局1980年に中止され、縦断には道路しかない.

道路は最高峰1,900m余りの大峰山脈を挟んで、東の伯母峰峠から北山川を通る国道169号線と、西の天辻峠から十津川を通る168号線がある.

山間部に向かう拠点は橿原市の八木である.

そんなところ知らない?

いやこの辺りは、平安時代の京都、奈良時代の奈良よりさらに前、飛鳥時代の日本の古都なのである.

なにしろ神武天皇の御陵があるのだ.

 

(桜井線 畝傍駅)

 

皇族方が橿原神宮参拝で利用した畝傍(うねび)駅が風格を保っている.

 

(上市.近鉄特急)

 

高知と肩を並べる紀伊半島を訪ねたい.

縦断にはバスがあり、169号線の方は昔、途中で2回乗り換えがあったが、吉野山対岸の近鉄・上市(かみいち)から太平洋岸の熊野市まで行くことができた.

今は通院などの目的で、沿線自治体が共同運行するコミュニティバスが一日一往復である.

2時間余りかかって奈良と三重の県境まで行くのだが、その先三重県熊野市方面が繋がらない.

調べた結果、1泊して翌日北山村のコミュニティバスを利用すれば縦走可能らしい.

しかし泊まるのも問題で、付近にキャンプ場のバンガローがあるが、夏だけである.

今なお厳しいルートなのだ.

一方168号線十津川の方は、五条・新宮間、5時間ほどかかるが一日3往復の「特急バス」がある.

沿道人口もやや多いが、本宮大社や温泉などの観光地があるためだろう.

レンタカーを利用して169号を行き、北山村で一泊して168号を戻る.

 

3.川上村

 

(川上村・役場)

 

169号線を吉野川に沿って山に入ると川上村である.

どこの村も役場、道の駅、温泉ホテルがワンセットになっている.

 

(川上村の旧道)

 

今はほとんどの区間がトンネル、拡幅などで改良されているが、昔の道は狭かった.

軒先すれすれにバスが通るが、材木を満載したトラックで出会うと、車掌さんの笛の誘導でバックする.

 

(川上村の旅館)

 

年間雨量4,000mm以上で日本一の多雨地帯である高原の大台ヶ原、続く大杉谷は関西の代表的な秘境登山ルートである.

かつては麓の旅館で泊って登ったのだが、今はドライブウェイがある.

 

4.上北山村

 

吉野川が終わり、北山川の上流に出るには970mの伯母峰峠を越える.

屈曲が激しく難渋する道であったが、今は長大トンネルとループ橋が出来ている.

下ると上北山村である.

 

(上北山村)

 

イベントをやっていた.

屋台があり、ピザの車があり、なかなか賑わっている.

人口を調べるとき、男女別を見た.

どこの自治体でも女性が多いのが普通で、住んでいる高知の町もそうである.

女性が長寿だから.

しかし上北山村だけが違って、男性が多い.

 

(祭りのライブ)

 

一角でライブをやっている.

前の方に陣取って手拍子で盛り上がっているのは老婦人たちである.

老男性はもともとこういう場にはあまり出ないが、男性優位の村ならもっといてもよいが.

つかぬことながら、世話役をしている男性に訊いてみた.

「男が多いとはあまり感じませんがね」という答えであった.

 

5. 人口予測

 

村には「やまゆり学園」がある.

何か私立の学校のようだが、保育園、小中学校一貫の施設である.

全校で10名とのことだ.

 

(やまゆり学園)

 

2019年、上北山村にとって衝撃的な内容を含む書籍が出版された.

河合雅司:「未来の地図帳」、講談社現代新書、である.

2045年に本村では、20-34歳の出産期女性人口が一人になるという.

仮に二児を出産しても高齢者の死亡数には到底追いつかない.

これは国立社会保障・人口問題研究所が公開している、国勢調査を基にした「日本の地域別将来推計人口」によっている.

将来の推計は過去のデータの統計的処理から算出しているので、今後の地域情勢の変化などによって数値は変化する.

やまゆり学園の現在の生徒数は10人、保育園から中学まで20年後の女児はみな出産期になるから、男女半々として5人、地元に半分残るとして2.5人ということになるが.

高知県大川村の同様の推定は6人である.

 

6.下北山村

 

(下北山村、池原)

 

昔はバスを乗り継いだ下北山村、スポーツ公園を見下ろして山を越えると三重県熊野市に入る.

 

(その1 おわり)

 

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2019年10月24日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一