高知学113 遍路の寺-讃岐 その1 出釈迦寺、曼荼羅寺、善通寺

八十八のお寺を巡る四国遍路、総延長は1,100km余りで、東京と大阪を往復する距離と等しいのです.

平安時代から、修行や巡礼のかたちで寺社や行場を巡る行脚が行われていました.

やがてそれが四国出身の空海、弘法大師への信仰と結びつきます.

現在の八十八か所にまとまったのは、江戸時代初期とされます.

その頃、僧・真念はガイドブックを記すとともに、迷いそうな個所には標石を立て、また山中に宿泊所をつくりました.

これによって遍路が随分歩き易くなりました.

自然発生的な経緯から、八十八のお寺の分布にはばらつきがあります.

高知県では、24番の室戸岬から38番の足摺岬の先まで、15のお寺が400km近くに渡って広がっています.

一方、かたまっている地域もあり、1番から始まる徳島近く、また88番で終わる讃岐などがそうです.

讃岐のお寺のいくつかを巡ってきました.

 

2019年8月23日 最終版

 

(善通寺のお遍路さん)

 

1.お遍路さんのいま

 

2019年の報道によれば、お遍路さんの全体数は最盛期から4割程度減少しているという.

これは、大型観光バスでガイドさんが旗を持って先導するような団体が減っているためらしい.

今も何回かに分けて巡るツアーの募集はされているが、車はバンを使って行動に小回りが利くようだ.

一方、本来の姿である歩き遍路は増加し、その中で外国人が増えているとのことだ.

自宅下方にある自転車道は遍路道になっているが、これは頷ける.

何年か前には、歩き遍路の団体ツアーも見かけたが、各人の歩行ペースは違うし、これは無理がある.

双六の上りへ急ぐのではなく、道中を楽しみつつ何かを求めるということなのだろう.

 

(遍路道のうどん屋.1番からの歩き遍路にはお接待)

 

2.73番出釈迦寺

 

(善通寺駅前)

 

土讃線の善通寺駅を降りる.

丸い山の下が善通寺で、山の向こうに出釈迦(しゅつしゃか)寺と曼荼羅(まんだら)寺の二つのお寺がある.

6km近くあるので、奥の出釈迦寺へタクシーで向かった.

 

(出釈迦寺山門から)

 

寺は高台にあり、晴天の今日、瀬戸大橋までよく見える.

 

(出釈迦寺本堂)

 

お遍路さんが一番多いのは春先だそうだ.

いまは8月、じりじりと日が照りつける.

誰もお参りがないようでも、いつのまにか一人、二人と境内に現れる.

そこが遍路の寺である.

 

(捨身ヶ嶽)

 

寺の背後の捨身(しゃしん)ヶ嶽は、幼い空海が山から身を投げて修行したという伝説の山である.

お堂が見え、熱心なお遍路さんはそこまで山道を登るということだが、とてもだ.

 

3.72番曼荼羅寺

 

曼荼羅寺は600mしか離れていない.

野道に入るとすぐ寺の茂みが見えてくる.

 

(曼荼羅寺本堂から)

 

遍路の寺には本堂、大師堂、納経所がセットになっている.

石碑や石像も多いが、ここは石のトーテムポールだ.

 

(山門から)

 

善通寺には下り坂になるので、歩いてもいいかと思っていたが、この暑さ.

タクシーを呼んで山門で待つ.

秋ならいい散策になるだろうが.

緑の稲田と、この地特有の富士山型の山が目の前である.

 

4.75番善通寺

 

(善通寺)

 

タクシーは善通寺の西側に着いた.

広い駐車場があって、うどん屋が立ち並び、大変賑やかである.

境内も広い.

善通寺は空海が生まれた地とされ、真言善通寺派の総本山である.

また金毘羅さんが近いので、セットで来る人も多いのだろう.

 

(善通寺本堂)

 

お遍路さんというと白衣の姿を思い浮かべるが、バイク姿もいるし様々である.

ハーフパンツの若者が手を合わせている.

 

(善通寺駅へ)

 

境内を駅に向かって東に出る.

駅まで徒歩15分とあるが、彼方の土讃線陸橋が霞んで見え、もっとありそうだ.

道の背後、真っ直ぐに午後の太陽があり、建物や並木の入れる影がない.

両側の商店のシャッターは閉ざされて人影もなく、余計に疲れる.

何でもないところでの苦闘が後々印象に残る、などと痩せ我慢で歩く.

大きな精麦工場があり、全部うどんになるのかどうかわからないが、さすが讃岐である.

 

(自衛隊トラックと精麦工場)

 

善通寺には、日清戦争後の1898(明治31)年に、全国六の内一つの陸軍師団が設置された.

初代師団長は乃木将軍である.

善通寺の街は「軍都」と称されて賑わった.

いま面積は縮小されているが、それでも四国最大の自衛隊駐屯地になっている.

「免許取り立て」の大型トラックが何台も練習で走り回っている.

南海トラフ地震への対応も重点施策らしい.

 

(善通寺駅)

 

善通寺駅にやっと着いた.

JR四国の駅は一時、趣味の悪い色や装飾で劣悪な景観であったが、今は落ち着いている.

キオスクはセブン-イレブンだが、控えめな看板である.

鉄道ファンとして、ここしばらく高松琴平電鉄に乗っていなかったので、琴平まで戻り、ことでんで高松に向かった.

 

(JR高松駅)

 

明日はまた三つのお寺を回る予定で、予報では雨だが、JR駅背後に月が出ている.

 

関連記事リンク:

81 歩き遍路の道1 大日寺から

44 自衛隊高知駐屯地の公開

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(おわり)

 

2019年8月22日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一