JR四国には、全線(特急料金および土佐くろしお鉄道含む)3日間乗り放題になる「バースディ切符」があります.
普通車は9,300円、グリーン車は13,000円で、その月に誕生日を迎える人が対象ですが、同伴者も2人まで同じ料金です.
格安切符として「青春18切符」が知られていますが、これは特急は利用できません.
東海道、山陽本線なら列車の本数が多いので、東京を早朝に発てば、普通電車を乗り継いで下関近くまで行くことが可能です.
しかし四国では普通列車の本数が少ない上、特急の通過待ちで停車時間が長く距離が伸びません.
12月が誕生月なので、毎年恒例になっているバースディ切符の旅に出かけました.
2018年12月21日 最終版
夜須726発 ごめん・なはり線 後免749着
冬でまだ朝焼けの残る時間、最寄りの夜須駅を出発して土讃線後免に向かう.
(朝の後免)
後免駅は通学時間.
手に手にスマホを握った生徒たちで、高知行普通列車は混んでいる.
以前は公立高校に学区制があり、乗換に不便な高校に通う生徒が、寒風をついて野中の道を自転車を走らせる姿をよく見かけた.
いま学区制はないので、その分鉄道が通学生で賑わう.
後免809発 しまんと1号 窪川926着
(しまんと1号)
高松を早朝に出る、土讃線下り特急一番の中村行がやってきた.
側線には線路を突き固めるマルチプルタイタンパー(マルタイ)が留まる.
そこは痩せても(失礼ながら)JRである.
四国でグリーン車があるのは予讃線、土讃線だけなので、バースディ切符は普通車にした.
窪川940発 予土線 北宇和島1211着
(窪川)
窪川からは、宇和島に向かう四万十川沿いの予土線である.
国鉄末期につくられた小型廉価版のキハ32であるが、「鉄道ホビートレイン」としてお馴染みの新幹線スタイルになっている.
(ホビートレインの車内)
新幹線の椅子が2脚備えられている.
(川奥信号場)
窪川を出てしばらく、川奥信号場で予土線と中村に向かう土佐くろしお鉄道が分岐する.
真直ぐ西に向かう方が中村、右の山に向かって曲がる方が予土線のように感じるが、逆である.
中村への線路は、この先トンネルの中をループ線で一周して下り、この駅の真下に出てくるのだ.
(江川崎)
終点まで2時間半かかるが、予土線の車両にはトイレがない.
といって、緊急下車すると次の列車まで4時間近くある.
江川崎では20分停車する.
トイレ休憩である.
(四万十川)
予土線は四万十川に沿って走るが、道路より高く、川岸に近づいているので見晴らしがよい.
列車が緊急停止し、運転士が後方に走った.
けものでも刎ねたかと思ったが、戻ってきた運転士によれば、沿線で草刈りの老婦人が斜面を転げ落ちるのを見たらしい.
大事はなかったようなので、すぐ発車した.
列車の終点は宇和島だが、一つ手前の北宇和島が予讃線との分岐駅である.
ここで普通列車に乗換えて松山方面に向かう予定である.
接続の時間は2分であるが、先ほどの停車は別として、行き違い列車の遅れでこの列車は5分の遅延である.
運転士から「北宇和島で乗り換える方はいますか」とアナウンスがあったので申し出ていて、一人だけだが予讃線列車は待っていた.
(北宇和島)
北宇和島1213発 予讃線 卯之町1247着
もっともダイヤには余裕があるようで、遅れはすぐに取り戻す.
(キハ54)
予讃線の車両は、やはり国鉄末期につくられたローコスト版のキハ54である.
勾配用にエンジンが2基搭載されているので、車体が普通より1m長い.
しかし文字通りステンレスの箱で、そこにユニット窓をはめ込み、両端に戸袋を省略できる折戸の出入口があって、端から端までずらりと席が向かい合っている.
変速機は廃車の再生品だし、冷房はバスのものという.
シンプルの極致だが、何もない室内はかえってロビー風である.
卯之町で下車する.
(開明学校)
この辺り、卯之町、大洲、内子と古い町が並んでいる.
卯之町には、江戸末期に蘭学者、二宮敬作が住み、シーボルトの娘、イネが学んだ.
開明学校は明治15年に建てられた小学校である.
離れたところでは、昭和3年建築の小学校木造校舎が保存され、長さ109mの廊下では「雑巾がけレース」が行われる.
以前、拭き掃除にトライしてみたが、すぐ腰が痛くなってダウンした.
(卯之町)
街路では中学生たちが集まっていたが、中学生、小学生とも例外なく挨拶をしてくれる.
修復中の民家にバーの暖簾がかかっていたので、昼過ぎだが一杯ひっかけるか、とくぐった.
マスターは今の時間、ピザなら焼けるという.
待つ間、グラスワインを飲んで、馬鹿話をした.
小学校は保存だけでなく、体験授業をしたいね.
宿題をやって来なければ廊下に立たせる.
体操もやるが、男女とも昔の体操着をレンタルすること.
造り酒屋で古酒を買った.
次に来るときは、漬物が名物の古い旅館で泊ろう.
卯之町1418発 予讃線 宇和海18号 伊予市1509着
群中港1514発 伊予鉄道 松山市1538着
予讃線で伊予市まで行き、伊予鉄道終点の郡中港に乗り換える.
駅名は違うが、両駅は道を隔てているだけである.
(伊予鉄道 岡田)
伊予鉄の車両は京王線の古手で、本線と井の頭線の両方があり、多くみかん色に塗られている.
中心の松山市に向かう.
(井の頭線渋谷?いや松山市駅)
(2 につづく)
関連記事リンク:
79 四万十川の中流
61 呑み鉄、ごめん・なはり線