高知学が100編になったところで、過去の記事を振り返り、総集編をつくっています.
高知県民が住んでいるところ、その生活は、関心を持って読んでいただいているテーマの一つです.
高知に引越しをするからということではないでしょうが、知らない地域で、どんなところに住んでいるのか、どんな生活をしているか、だれしも、だれでも興味を持ちます.
しかし意外に記されたものがありません.
あまりにも日常的なテーマなので、ガイドブックにも、観光協会のパンフレットにもありません.
(文中のピンクの部分をクリックすると、その記事につながります)
2018年11月20日 最終版
1.都市と住宅地
高知県は東から西まで直線距離で180kmあるが、これは東京から浜松、新潟、福島までの距離にほぼ等しい.
一方、高知県の人口はたった70万人であり、しかもその半数が高知市周辺に住んでいる.
全体として、いかにゆとりのある地域なのか、よくわかる.
(高知市)
高知市域を貫いて川が流れ、すぐ背後は山である.
高層のホテルやマンションもあるが、その気になれば数えられるほどである.
(通天閣)
東京には浅草、大阪には新世界、と盛り場があるが、高知にはない.
東京都内では建物群が無限に広がり、その終わりは見えない.
さらにその外郭には新興住宅地がある.
(安芸市・内原野団地)
高知にも新興の住宅団地はある.
埼玉、千葉などの住宅地と気分として変わりないが、一人1台、車が必要であるところが違う.
首都圏と似た感覚で住むことができる.
2.海岸
高知というと海のイメージが強い.
しかし海岸は外側のごく薄い殻であり、その中身はみな山である.
海が見える土地は限られる.
(香南市・夜須町)
静岡から東海、紀伊半島、高知、宮崎の沖合で、いずれ南海トラフ地震が発生することは確実である.
南海トラフ地震は100年ごとに起きるが、次は2038年の可能性が高いとされている.
ただこれは統計的に、であって、それより早くも遅くもなり得る.
エネルギーは日々蓄積されているので、早ければ規模は小さく、遅くなればなるほど大きい.
地震と同時に津波が発生する.
浸水地域は各家庭に配布されたハザードマップに示されている.
液状化地区も公表されている.
(芸西村の高台)
役場や工場は、津波を避けるよう全県的に高台への移転が進んでいる.
個人の住宅も、浸水地域を避けつつある.
海を見下ろす別荘地も候補の一つである.
(須崎市・久通)
ところが、海辺の漁村でもリフォームされた住宅が売りに出されている.
買う人がいるだろうか.
この前の1944,1946年の昭和南海トラフ地震は、比較的小規模で東に震源の壊れ残りがあり、次はこの地域から始まると考えられている.
東端の静岡で発生しても、遠いから直ちに高知に影響することはなく、過去の例から、2時間、または2日、または2年を置いて高知に地震がくる可能性が高い.
逃げる時間がある.
津波も同時に起きるが、不謹慎かもしれないが、そのために一帯は更地になる.
南海トラフの動きは一定なので、その後100年間は地震が絶対に起きない.
浜辺であっても、この土地が安心になるのだ.
3.離島
(沖ノ島)
高知の離島、沖ノ島は住宅地としてどうだろう.
宿毛市から市営船で1時間余りである.
運賃は島民なら200円余だから、都会のバスと変わりない.
毎日2便なので、高知の山間部のバス週1日2便よりずっと頻繁である.
万一宿毛市街に渡っていて欠航になっても、コンビニ近くに宿泊所が用意されている.
都会で電車の計画運休に慌てるようなことはない.
ネットもスマホも繋がるし、船が着くと宅配便の軽トラが寄っている.
アマゾンの箱も混じっている.
診療所もヘリポートもある.
ちょっとそこまで、とはゆかないが、そのため余計な金を使わない.
(沖ノ島 弘瀬)
集落では母島が大きいが、急傾斜地で上り下りが大変である.
弘瀬は左右に平地が広がるので、足が悪くても住み易そうだ.
4.山間地
日本全国、殻が海岸であり、その中身は山である.
周りを見渡して山が見えないという場所は、関東平野のごく一部だけである.
日本は山国なのだ.
高知も太平洋に面しているとはいえ、同じように山国である.
(大豊町・八畝)
高知の山里もいろいろだが、特徴的なのは、見上げるようなところにある集落だろう.
(仁淀川町・長者)
各地の観察からすると、安定して住める山里の条件がある.
駅から、駅が無ければ役場やスーパーがある中心地から、車で10分以内にあることだ.
都会の住宅地と同じで、それより遠いところはやはり住み難い.
また行くために、無人の峠を越えてというのもつらい.
川筋などで、ぽつりぽつりでも人家が続いていることが望ましい.
人間は群れをつくる動物なのである.
(香南市・香我美町)
(森の住家)
しかし思い入れがあって、森の中に孤独に?住む人もいる.
木々に埋もれ、グーグルで「ぽつんと一軒家」を探してもわからない.
畑も開墾されている.
このようなところで住むための条件は、立派な建築であることだ.
「山の家」だから簡素でよい、という建物は打ち捨てられている.
お互い、悟りを開いた仙人ではないのだ.
(おわり)
関連記事リンク: