72 市町村コミュニティバスで高知観光 2 須崎市、大豊町

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「コミュニティバス」には、はっきりした定義はなく、ただ単に小型のバスを指す場合もある.

行政的には、市町村が交通空白地(過疎地)で運行する、「ローカルバス」である.

白ナンバーで安い運賃だが、無料のところもあるし、路線バスと同じ緑ナンバーの事業の場合もある.

運転は地元タクシー会社などに委託されている.

運転手は地元の人だから、道中、土地の生活事情や、名所を話してくれる.

「田舎のワンマン観光バス」である.

高知のコミュニティバスに乗ってみよう.

 

2017年7月9日 最終版

 

 

1.須崎市営バス

 

コミュニティバスの路線は、大体に山奥の集落だが、海岸にもある.

須崎市は三つの部分からできている.

駅付近の「旧市街」、高速インター付近の大型店が集積する「新市街」、入江にある漁業基地である.

コミュニティバスはこれらを結んでいる.

 

(スーパーの停留所)

 

一日7往復だから、高知のコミュニティバスの中で格段に多い.

Mスーパー前から湾の奥へ向かったが、レジ袋を提げた人たちで、マイクロバスの半分が埋まった.

 

(野見)

 

入江に沿って、山を上り下りして走る.

野見が漁業の中心で、ほとんどの乗客が降りた.

小中学校の大きな建物もある.

 

(野見湾)

 

静かな湾には、タイ、ブリ、ハマチなど多数の養殖筏が浮いている.

海を眺めながら、小さな漁村を回る.

運転手の話では、いま通学の生徒はいない.

小さい子が一人いるが、このバスで野見の学校に通うまでまだ大分あるね、ということだ.

 

(終点中ノ島.向こうが戸島)

 

終点で折り返しの出発まで10分くらいあるので、運転手は煙草を吹かす.

すぐ先に戸島があって、住まいが見えているが橋はない.

住民はここまで船で来て、このバスで買物に行くのだそうだ.

写真を撮って再び乗る.

途中、屈強な男たちが乗ってくる.

交わしている会話からすると、漁師さんである.

パチンコ通いにもよく利用されているらしい.

車を運転できない風ぼうではないが、夜明け前からの仕事を終え、一杯ひっかけて帰るのかもしれない.

終バスは6時前だ.

 

2.大豊町営バス立川線

 

大豊町のバスは、高知にある21市町村のコミュニティバスの中で、唯一無料である.

無料の場合は、ホテル、商店街の送迎バスなどと同じで、道路運送法の適用外になる.

ただ、バラマキ行政的となるためか、交付税の交付対象外となり、町では過疎債を財源としている.

土讃線大杉駅前から、日祝を除く日に3往復の立川線に乗った.

 

(大杉駅前)

 

以前、同じ高知の越知町には、無料の「患者バス」があった.

通院証明書が必要だが、高齢者は皆何かで病院に行っているから、事実上全員が対象である.

厚労省の地域医療対策事業が財源である.

山の上に、住民がつくった待合所があり、かかし人形が置いてあった.

 

(越知町清助の待合所)

 

しかしこれだと、せっかく若い移住者や子どもが来ても乗れない.

そのようなことがあってか、現在は有償の町営バスに変わっている.

しかし親切である.

普通は停留所に「時間に余裕を持って来て…」と注意書きがある.

そうすると律儀な老人は、雨の日でも、5分、10分も前から待つ.

越知町では、「時間まで発車しませんので、あまり早くから待つ必要はありません」と書いている.

 

(山の車窓)

 

学校から地域スーパーにかけて、町の2km周辺での乗降が結構多い.

無料だから、気軽に利用されているらしい.

山に入るが、これは標高1,000mの笹ヶ峰を越える、参勤交代の古道である.

高知から瀬戸内へ抜ける高速道路が頭上を平行する.

高速道路から見下ろすと、下はうっとうしいだろうと思っていたが、時折高い橋脚が見える程度である.

一人残った老婦人が降りた.

いつも思うのだが、このようなところで降りる老婦人は、必ず凛とした雰囲気を漂わせている.

途中、屋根付きの橋を渡って境内に入る神社がある.

写真を撮ると、運転手は、雰囲気があるところで祭もやっている、と説明してくれる.

ガイドブックにはない.

 

(橋を渡る神社)

 

復元された昔の番所のところで街道をそれ、狭い谷筋に入る.

男性が一人歩いていて、アメゴ釣りだそうだ.

移住してきた家に小学生がいるが、寝坊して朝7時のバスに遅れると、お母さんが送る.

40分余りで終点の仁尾ヶ内に着くが、森の中に待合所があるだけで、人家は見当たらない.

上には数軒の家があるらしい.

乗客がいれば、山を上がってくれるのかもしれない.

 

(終点、仁尾ヶ内)

 

対岸にも3軒があり、高知の病院に通っていたが、今はみな入院した.

林道が先に続いていて、秋から伐採が始まり、大型トラックが行き来するという.

いま、この地域で林業に従事しているのは1軒だけらしい.

林業が衰退したので山の集落が消滅した、と考えられがちだが、逆である.

今は林道がつくられ、大がかりな林業機械によって、計画的に伐採と育成が行われる.

昔の木こりのように、山に住む必要はない.

麓の基地で段取りと連絡を終え、山に出勤する.

5時を過ぎると、山から次々に車が戻ってくる.

 

(おわり)

 

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2017年7月2日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一