70 国道439(よさく)2.山里を巡って「よさく」の難所、杓子峠へ

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徳島から四国を縦断する国道「よさく」.

山に点在する集落を通り、峠を越える.

山里体験ルートであり、「日本の原風景」だけでなく、変わりゆく今の町村の姿を実感できる.

「冒険ルート」ともされている.

1に続いて、池川から終点中村へ.

最後は、もっとも「よさく」らしい杓子峠である.

 

2017年6月11日 最終版

 

 

1.池川

 

仁淀川町は、池川町、吾川村、仁淀村が合併してできた町である.

高知の山間部一帯に広がり、高知の山里を代表すると言ってよい.

各地の集落に向かう、週1日のコミュニティバスが30路線に上る.

池川の元役場の裏を上がって行くと、鯉幟にフラフが翻り、次世代を担う子どもが育っていることがわかる.

ただ、町関係者は、生徒の調査をすると、将来もここに住みたいという比率が少ないことを嘆いていたが.

 

(池川の5月)

 

斜面では、3軒のお宅が薔薇園をつくっている.

入場料を取ることではなく、お家にお邪魔して見せていただくオープンガーデンである.

しかし、よく手入れされ、楽し気に家人の方が説明してくれる.

山を背景にしているところが、また素晴らしい.

 

(池川の薔薇園)

 

2.33号線

 

(ドライブイン引地橋)

 

しばらくして、国道33号線と合流する.

高知と松山を結び、高速道路がない時代のメインルートであった.

座席指定の特急国鉄バスが、1時間おきに走っていた.

3時間半かかるが、途中このドライブインと愛媛に入っての久万で小休止する.

さらに松山からは広島行き水中翼船が連絡して、瀬戸大橋以前の、高知-広島の最速ルートでもあった.

単調な高速道路に飽きると、ここを通る.

今も変わらずおでんが売られている、県民御用達の店である.

いつぞや、高知のスーパーで「引地橋おでんのたれ」をみつけた.

 

3.長者

 

再び439で、長者を通る.

幸せな名には伝説があるが、佐川、越知から山奥に至る往還の要所である.

「だんだんの里」の農家レストランがあるように、見上げる斜面一帯が、石を積み上げた「段々畑」になっている.

地図を見ると、これでも周辺より傾斜が緩い地域なのである.

一回では曲がり切れない道を折り返して上ると、往還沿いに家々が並ぶ.

道路からは1階、下からは3階になっている.

 

(長者)

 

水が湛えられ、田植えの準備である.

高知の平野部より2か月近く遅い.

ただ、長年の努力にもかかわらず、ついに耕作放棄地になった地域もある.

 

(田植えの季節)

 

4.山の宿

 

(午後の439)

 

道幅が狭くなって、矢筈峠を越えて梼原町に入る頃、日が傾いてきた.

この辺り、宿になかなかバラエテイがある.

囲炉裏と五右衛門風呂の古民家、農家民宿、町中に行けばシティホテルに温泉ホテルがある.

439沿いに小さな郷麓温泉がある.

 

(郷麓温泉)

 

部屋のデッキと風呂は渓流に面し、流れの音と河鹿の声が絶え間ない.

この後、439は山の中を延々と続く.

特にダム湖の縁は、昔ここにあった森林鉄道と同じく、等高線を忠実に屈曲して辿る.

ひたすらハンドルを回し続けても、周囲の風景は一向に変わらず、気力を消耗する.

ただ439は国交省だが、並行して農水省の「ふるさと林道」がある.

先は国道並みに?狭いが、2車線で長いトンネルを抜けるので短縮ルートになる.

途中、中津川には農家民宿がある.

 

(中津川)

 

5.杓子峠

 

栗焼酎が売りの大正を過ぎて、ラストコースの杓子峠で終点の中村に向かう.

入口には「通行困難!!」の警告板がある.

 

(杓子峠の入口)

 

(杓子峠へ)

 

狭くなり、よさく最後の試練である.

たしかに「国道」としては狭いが、「高知の山の道」としては普通である.

いや、むしろ広い方と言ってもよい.

これは慣れで、以前居た東京には1車線の道路などなかった(世田谷の住宅地は別だが).

20年前高知に来たとき、すれ違いができない狭い道には緊張したが、今はこれが当たり前の感覚となった.

大体このようなところでは、すれ違う車はほとんど来ない.

 

(杓子峠から)

 

大正から中村には、海岸を通る道筋が一般的で、山越えをすることはない.

山越えにしても、これも農水省による、2車線の清水東津野大規模林道が、439と並行してつくられている.

ただ工事は中止され、途中から狭くなるが、県によって拡幅工事が進行している.

おそらく今後も、439の改修工事が行われることはないであろうから、「酷道」のタイトルは安泰である.

 

(住次郎)

 

峠を下って行くと、住み家が見えてくる.

次第に広くなる.

 

(中村城址から)

 

川に沿って水田が広がる.

よさくの終点、中村の城址に上って杓子峠の方向を見る.

439は右の山裾の集落の間を通っている.

徳島からここまで、どんなところにも、人は住んでいるものだと思う.

 

(おわり)

 

関連記事リンク:

国道よさく1 剣山から仁淀川町

沈下橋と四万十川

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(つづく)

 

2017年6月2日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一