69 国道439号(よさく)1.奥祖谷モノレール、京柱峠、棚田を西へ

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439号線、通称よさく、は徳島から四万十川河口の中村まで、約300kmの路線である.

四国の背骨の山々を貫く、四国縦断ルートである.

曲がりくねった1車線の、ガードレールもない狭い山道を、右に左にハンドルを回し続ける.

対向車があればバックしてやり過ごし、峠をいくつも越える.

日本三大「酷道」の一つとされる.

しかし、大変だ、危険だ、と言われるほど、行ってみたくなるのも人情で、なかなかの人気である.

 

2017年5月24日 暫定版

 

1.剣山から奥祖谷

 

439号線は、徳島から山の中を走り、ようやく剣山(つるぎさん)登山口に着く.

標高は1,400mで、1,955mの剣山にはリフトがある.

この高さだから、積雪で冬季は通行止になる.

今、徳島からここまでは438で、実質的な439はここから始まる.

 

(剣山から行く手を見る)

 

これから辿る山並みが連なって見える.

終点中村まで、何回このような景色を見ることか.

 

(東祖谷菅生)

 

下りた辺りは祖谷である.

菅生は昔、林業の中心地で、森林鉄道があった.

バスの車庫と共に、立派な建物の旅館が残っている.

 

2.モノレール

 

ここには、大変奇妙な乗り物がある.

奥祖谷観光周遊モノレールである.

みかん山などで、果実を入れたコンテナを下ろす簡易なモノレールをよく見るが、その拡大版である.

工事現場などでも使われていて、専業メーカがあり、最大3トンの重機、6名を輸送できるという.

ここでは二人乗りで、1周4.6km、高低差590m、65分で戻ってくる.

普通はエンジンだが、ここは電動である.

 

(奥祖谷観光モノレール)

 

(山を巡る)

 

何があるというわけではないが、森林を巡って、なかなか楽しい.

なぜここにこんなものがあるのか.

当初、至近距離にある、標高1,893mの三嶺への登山客輸送を目指したからである.

三嶺は、四国では知られた登山の対象である.

ところで、A地点からB地点に人を移動させる、これは「輸送」であり、鉄道(軌道)事業となる.

このモノレールも、東京、大阪のモノレールと同じ基準で審査される.

とても実現は困難であろう.

しかし、AからAに戻ってくれば、これは輸送ではなく、遊園地の汽車と同じ扱いになる.

ディズニーランドの蒸気船は当初、周回の途中の船着場で客が乗降できた.

したがって「輸送」となり、母港を「浦安港」とする船舶として認可された.

旅客船では、救命胴衣、救命ボートを備えなくてはならない.

しかし、危急の際には筏が駆け付ける体制をとることで、省略が承認されたということだ.

アイデアは省庁と法令の間隙に存在する.

 

3.京柱峠

 

西に進むと、観光客でごったがえす「秘境かづら橋」への道から分かれ、京柱峠を上る.

標高1,139m、よさくを代表する峠で、冬季は閉鎖である.

今はかづら橋方向が本流で、こちらは物好きの道と言ってもよい.

ここから高知県である.

 

(京柱峠から見る徳島側)

 

(京柱峠の高知側)

 

京柱峠を下る.

集落の中を通る昔からの道路は、家々を立ち退かさない限り拡幅できない.

大規模なバイパスをつくらない限り、どうしても狭くなる.

 

(移動販売車)

 

音楽を鳴らして移動販売車がやってきた.

地域の貴重な生活支援である.

店主の女性は、自分で仕入れをして、付近一帯を回っているそうだ.

 

4.棚田地帯

 

この辺り吉野川の南岸は、谷底から山の上一帯が、棚田である.

地図で特徴が明確にわかる.

 

(怒田-ぬた)

 

地質学者は次のように説明する.

下部に水を通さない、厚い粘土層がある.

その上に、風化、破砕された地層が載り、大量の水を含む.

すべりやすいので緩い傾斜になる.

棚田をつくるのに適している.

地下水位が高いので、高い場所でも水田ができる.

ただ、これ以上すべっても困る.

斜面には大規模に水路が建設され、水抜きトンネルが掘られ、地下水位がモニターされている.

これに対して、北岸は堅い岩盤である.

 

(32号線、439は右に分かれる)

 

439は谷を通っているが、狭いが棚田の山腹を通る道路もある.

一旦32号に合流する.

高知と高松を結ぶ国道で、大型トラックの通行が多い.

高速道路の経路は遠回りになり、かつ有料なのでここを通るのである.

約10kmで、再び439は分かれる.

 

(さくら市場で)

 

本山町は地域の中心で、直販市、さくら市場がある.

昼時で、韓国系おばさんのつくるチヂミに、地元高齢者が集まる.

しばらく大声で歓談する.

 

(439らしくない439)

 

この辺り改修が進み、「よさく」とは思えない.

道幅は広く、長いトンネルがあり、滑らかな曲線と坂が続く.

車は少なく、快適な山岳縦断道である.

 

(池川)

 

 

 

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(つづく)

 

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