52 高知の映画館、温泉、美術館、公園、こんなところに…. 2.

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高知のこんなところに…こんなものが….

とんでもないところに、とんでもないものがある.

考えられないところに、映画館、温泉、美術館、公園.

皆、手造りである.

つくりたくなれば、自分でつくる…それが高知である.

いごっそう、はちきんの産物と言ってもよいだろう.

 

(2017年2月14日 修正版)

 

1.映画館

 

D劇場は高知で著名である.

室戸に向かう国道を1時間、左折して鮎で名高い安田川を遡る.

鮎のはらわたからつくる塩辛、酒飲みには堪えられない「うるか」が近くで入手できるほどの清流である.

渓流に沿って2kmほど行くと、橋を渡るよう小さな看板がある.

映画館への入口である.

 

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(D劇場.豪雨で増水中)

 

どうしてここにあるのか、わからない.

館主は、高知各市町村のご当地ソングをつくって活動するミュージシァンである.

もぎり、内装など、館主の手づくりである.

 

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(客席)

 

毎日の上演はないが、思い出したように、というほどでもない.

固定客もいる.

フィルム映写機があり、大体は「ひばりの…」など昔の映画である.

プロジェクターがあるので、デジタル新作も扱う.

特攻を扱った作品が上映された.

内容は地味だが、高知出身のM歌手が出演するシーンがある.

一日2回、1週間の興行が満席で、当館開設以来の入りだった.

 

⒉ 手造り温泉

 

高知には、道後のように自然に湧く温泉はない.

しかし、深くボーリングして湧出する温泉、冷泉を沸かした温泉はあちこちにある.

Y温泉旅館もその一つである.

 

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(Y温泉)

 

須崎から国道を行き、山にそれる.

人家が途絶え、狭い山道で、この先で温泉が営業しているのか不安になる.

やがて古い看板が現れ、橋を渡って、木立の中に旅館が見える.

ラプラドルが盛大に吠えて迎える.

最近、中国の団体やフランス人が来たそうだが、「秘境の旅」だったのだろうか.

温泉は谷にある.

 

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(Yの湯)

 

日曜大工で、河原の石をセメントで固めた、凸凹の浴槽、洗い場である.

建物は失礼ながら掘立小屋で、随所から空が覗く.

主人が何としても、ここで風呂に入りたかったのであろう.

泉源からパイプで引き、薪で沸かしてタンクに貯める.

林間に薪の燃える匂いがしている.

高知には、小さな浴槽一つを交代で入る、林の中の桧風呂、穴蔵の奥、など自己主張の温泉があった.

廃業や改築でなくなったので、今はここが「とんでも温泉ランキング第一位」である.

 

3.美術館

 

白木谷は、梅林、そして切り口が四角の四方竹の産地として有名である.

高知市の東北になる山の中である.

小学校は残り、全校生徒24人でがんばっている.

そこに「白木谷国際現代美術館」がある.

 

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(美術館)

 

つくったのは、M.T氏である.

この地で工務店をやりながら、前衛絵画を描いていた.

しかし、絵では物足りなくなり、海岸で200トンの玉石を譲り受け、ここにインスタレーションをつくった.

ところが、そのままでは草に埋もれてしまう.

それなら、いっそ美術館をつくる、と思い立った.

 

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(美術館内部.壁の人物が作者)

 

川沿いの倉庫を拡張し、家族、知人で建設を行った.

今も年々、新築、改築が続いている.

美術館そのものが作品である.

壁、柱こそむき出しだが、元工務店主だけに、構造は本格的である.

基礎のコンクリートも普通の倍は入っているという.

 

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(展示室の一部)

 

自作以外に、美術展の出展作、しかし始末に困る?大作の展示場ともなっている.

ピアノがあり、ジャズセッション、演奏会も開かれる.

 

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(工事中? いや制作中)

 

美術館には屋外展示場があるが、いま、その川向うで制作が進んでいる.

作者が鉄筋を溶接中で、順次道路から、生コンをコンクリートポンプ車で圧送する.

鉄筋は太く、県道の橋脚工事と言っても、だれも疑わないであろう.

野外ステージとしても使えるようにするらしい.

今は仮橋だが、いずれ本格的架橋?制作が進むと思われる.

 

 

4.トンボ公園

 

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(公園の保護区)

 

高知県の西、中村にあるトンボ公園は、公式ガイドブックにも載っている施設である.

場所は、中村市街地の四万十川対岸で、とんでもないところではない.

施設はトンボの標本を始めとした資料館、川魚を中心とした水族館からできている.

そして、谷に沿って1km近く奥に延びる「トンボ保護区」がある.

四万十川と自然は結びつくものの、どうしてここに「トンボ」なのだろうか.

 

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(トンボ保護区)

 

施設は市がつくったものでも、県がつくったものでもない.

創設者のS氏の想いである.

S氏は地元のトンボ少年であった.

高校3年のとき、かねて観察を続けてきた、ある種の生息地が工事で埋め立てられてしまった.

そこで、保護地をつくる、と決意したのである.

今は社団法人で、WWF、市、県の援助もあるが、基本はトンボを愛する人たちの支援である.

最近、自宅付近で、以前は見なかった、オニヤンマなどが飛ぶようになった.

耕作放棄地が増え、農薬の使用が減ったためらしい.

もっとも、最近増えているソーラーパネル設置地で、大量の除草薬を使ったりするので、油断はならない.

しかし、積極的に保護し、育てようとすれば、場所を自然にまかせて放置する、というものではない.

茂る草を刈り、湿地を維持する、地道で苦労の多い作業が必要である.

その甲斐があって、いま70種類以上が生育している.

見たことがない、クリーム色の細いトンボが飛んできた.

 

 

リンク:こんなところに… 1 庭園、本屋、パン

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(おわり)

2016年9月8日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一