5 四国遍路で歩き遍路.どんな人が歩く?フットパスとして

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歩くお遍路さんが増えている.

歩いてこそ四国遍路という気がする.

しかし、歩き通すにはかなりの覚悟が要る.

どんな人たちが歩いているだろうか.

どれくらい歩けるだろうか.

難所はどこだろうか.

安心して歩けるだろうか.

 

(2017年3月16日 修正版)

 

 

1. お遍路さん

 

(お遍路さん.26番金剛頂寺)

 

下に遍路道がある.

30分ほど歩くと、大体一組のお遍路さんに出会う.

歩き遍路は、お金がない場合や、修行者などと思われがちである.

そうではない.

大荷物を載せたカートを押し、汚れた衣服で野宿貫徹の人もいる.

スケボーや一輪車の遍路もいる.

もっとも意表を突いたお遍路さんは、人力車を引いた若者であった.

車道を走るので、坂道では渋滞を起こすのではないだろうか.

隣村の人が、心細そうにしている若い女性の遍路を家に呼んで食べさせた.

5杯お代りをした.

ただこれは例外的である.

若い男女は大体一人で歩いているが、シニアが多い.

一人歩きもあるが、夫婦や気の合った二人で歩く組も多い.

 

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(室戸岬から.はるか向こうは徳島県、海岸が遍路道)

 

50代の頃、旧街道を東海道、中山道を始めとして、奥州街道を青森まで歩いた.

ついには、明治10年に東北の辺境を歩いた英国人女性旅行家、イサベラ・バードの後を辿るなどした.

11年間で3,000kmを歩いた.

遍路道は、1,116kmとされているので、遍路に直せば4年で一回りした勘定になる.

2ヶ月に1回くらいの土日で、休憩含め時速3km 、10時間で一日30kmを目安にした.

尺取虫方式で、あるところまで行って帰り、次回はそこまで行って再開する.

 

(御荘の40番観自在寺へ)

 

このやり方で2日連続して歩くのは問題ないが、3日となるとかなり疲れる.

歩き遍路もこのような区切り方式なら容易だが、通して歩くことはたやすくない.

ウチのお母さん、小学生の女の子と歩いたこともあるが、一日25kmは十分歩ける.

遍路全行程を、一日20-25km、50日くらいで区切って歩くのが無難と思われる.

歩き遍路は年間5千人程度らしい.

落とすお金は日数に比例する.

車では10日くらいだから、歩きはその5倍になる.

 

2. 遍路の難所

 

昔、遍路道最大の難所はどこだっただろう.

23番薬王寺から、24番最御崎寺に至る室戸岬東岸、中でも野根から椎名に至る25kmと思う.

 

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(野根から室戸を遠望)

 

崖を削って、明治40年に国道がつくられた.

今は、距離は長く疲れるが、危険は少ない.

しかし昔は、波打際を伝うしかなかった.

砂利に足を取られ、突端では岩を攀じ登る.

潮の加減を見ないと、満潮で取り残され、前にも後にも行けなくなる.

高潮になれば波に持ってゆかれる.

 

(室戸の道)

 

この地域は、山の急斜面が海に面しているので、豪雨になり易い.

ワイパーを高速で動かしても、先が見えない雨に出会ったことが何回かある.

波打際でこのような雨に出会ったら、無理にでも崖を攀じ登って木にしがみつくしか助かる法はない.

野根には善根宿(無料で泊まれる家)が多かった.

天候や潮の加減で、何日も留まらなければならないことがあった.

地元の人が「今日なら」という日を待ち、朝暗いうちに出れば、天候の急変がなければ、夜には室戸に着く.

野根から見る室戸への海岸は、死を目の前にする光景である.

お大師様におすがりしつつ、足を踏み出したことであろう.

 

 

3. フットパス

 

遍路はお参りをし、お経を唱え、祈願することが目的である.

しかしその間は、ロングウオークである.

遍路道はパブリックフットパスである.

一部では、地元の人の努力で整備がなされ、歩きを楽しむことができる.

 

しかし、大部分の一般道は、フットパスにほど遠い.

歩き遍路は想定外の存在であり、歩道は車道の横に補完的につくる構造物、という認識と思われる.

しかし歩きは、格安バスツアーに比べると、長時間の旅を楽しむクルーズである.

 

(近くの旧街道)

 

遍路が国際レベルで認知されるには、次のことが必要だろう.

1)  生命の危険がないこと

国道の改良が進み、大型トラックの隙を縫って、ガードレールの切れ目を走り出るような場所は減ってきた.

しかし歩道のない主要国道もまだ多い.

峠のトンネルなど、歩き遍路のためにつくられた地図では、懇切に迂回路が示されている.

しかし「八十八箇所貫徹!」が目標で、国道が最短距離と信じ、歩道のない暗いトンネルに突入する遍路もいる.

生命の危険がない遍路道でありたい.

2) 風雨に対する避難所

晴れていれば、どこにでも腰を下ろして休むことができる.

小雨なら、レジ袋を敷いてガードレールに腰掛けることができる.

しかし風雨が強いとどうにもならない.

街道歩きでは駅や食堂を利用したが、田舎の遍路道には少ない.

電話の中継機の土台がコンクリートの脚であったので、蜘蛛の巣を払ってその下に潜り込んだことがあった.

人里離れた所では、嵐のときの避難所があると大変助かる.

田舎によくあるバス停の待合所程度で、風雨が吹き込まない構造ならよい.

隣村の老人ホームにある休憩所はよくできている.

壁は格子だが、軒が深いので暴風雨でない限り安心で、傍にはトイレもある.

 

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(老人ホームの遍路休憩所)

 

3) 歩道の構造

地道がもっとも歩きやすいのは間違いない.

たとえ砂一層があっても違う.

歩道の舗装を剥がせばよいが、集落の近くでは、老人の買物車は通り難くなる.

木材チップを固めた舗装は、クッションもあり、なかなか良いのではないか.

 

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(おわり)

2015年1月24日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一