28 高知の酒を訪ねる.三原、吉川のどぶろく.芸西、山田の蔵元

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高知の酒として、土佐鶴、司牡丹が全国銘柄だが、計18の蔵元がある.

加えて、最近では「どぶろく特区」が容易に設定できるようになり、高知の各地でどぶろくがつくられている.

飲む楽しみが増えて、うれしい限りである.

どぶろくの産地、三原、吉川と、土佐山田などの酒蔵を訪ねてみよう.

 

(2017年3月24日 修正版)

 

 

1.三原

 

三原村は、四万十川河口の中村と、海に面した宿毛との中ほどを、山に入った台地の上である.

トマトの大工場がある.

一日の温度差が大きい清涼な気候で、水もよく、「三原米」として売られている米もよい.

その特質を生かして、特区の設定が可能になった2004年からどぶろくがつくられてきた.

 

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(三原村)

 

どぶろくは個人がつくるもので、7軒で醸造されている.

道の駅で買うこともできるが、やはり現地で農家を直接訪ねて、話しながら買う方が趣がある.

地図や道標があり、醸造を行っている家には幟が立っているので、迷うことはない.

大体は主要な道沿いにあるが、山道を辿る少し遠いところもある.

7軒全部を訪ねたが、1軒だけはいつ行ってもお留守で、まだ全軒制覇を果たしていない.

 

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(どぶろく 桂)

 

「桂」醸造元で、たまたま出会ったご主人は、「つくるのは家内で私は何も」と言っておられたが.

足摺岬の金剛福寺から宿毛市の延光寺まで、三原村を遍路道が通っていて、お遍路さんによく出会う.

50km以上の山間の道のりになり、途中宿泊が必要なので、どぶろく醸造元で民宿を行っているところが多い.

 

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(どぶろく 川平郷)

 

多くの家では甘口、辛口、両方のどぶろくをつくっている.

 

⒉.吉川

 

どぶろくの醸造というと、密造というわけではないが、何かしら奥深い山の中を連想する.

ところが、高知空港の近くでもどぶろくはつくられている.

その工房はコンクリートブロック工場の中にあった.

率直に言って、工場の現場事務所の印象である.

 

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(吉川のどぶろく工房)

 

4年前に始めたが、3年連続して全国どぶろくコンクールの金賞を受賞しているという.

すべてに徹底してこだわる主人が目指すのは、斯界最高のどぶろくである.

吉川は物部川河口で、米もよい.

それを精米歩合50%に研ぐ.

まさしく大吟醸である.

最初、某所の岩から滴り落ちる水を考えたが、湧出が安定しないので、室戸の海洋深層水を使っている.

酵母は国の醸造研究所に行って、選定したということだ.

 

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(どぶろく工房のあるじ)

 

高いがたしかに大吟醸である.

マニアックに入れ込んだ成果である.

 

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3.芸西村

 

現在高知に18の蔵元があるが、かつてはもっと多かった.

昔は今の一升瓶による流通はなく、各自大徳利を下げて酒屋に買いに行くことが普通であった.

村々で酒がつくられていて、そこで買う.

住んでいる町でも、昔は蔵元があった.

今は住宅地になっている.

隣村には2軒あった.

1軒は健在だが、もう1軒はやめてしまっている.

やめた蔵元は「響灘」という銘柄であった.

酒蔵の象徴である煙突に名が残っている.

いい名前である.

醸造場は旧道からすぐ松林になり、向こうは荒波が寄せる浜である.

波の音が響いてくる場所なのである.

スコットランドのアイラ島では、ウィスキーの貯蔵所が海岸にあり、海藻のヨードの香がつくということだが.

 

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(かつての蔵元)

 

響灘の酒蔵は今も残っている.

国道に面した一部を使って、食料品兼酒屋が営まれているが、さすがに置いてある酒は吟味されている.

 

4.土佐山田

 

高知の蔵元は、東の奈半利から西の中村に至る各地に点在し、各地域を代表する銘柄になっている.

地域に密着する蔵元、生産は少ないが知る人ぞ知る銘柄、高知を代表する全国銘柄、などいろいろで、それぞれに特色がある.

土佐山田には2軒の蔵元が健在で、その一つが「松翁」である.

この地域はもともと林業を背景にした刃物の産地であって、秋に公園で刃物祭りが行われる.

その日のために「土佐打刃物」なる銘柄がつくられている.

売りの一つは濁り酒の「蔵酒」である.

白濁しているところはどぶろくと似ているが、軽度に濾過されているので、米粒は入っていない.

また発酵は止まっている.

分類は「清酒」である.

松翁の蔵酒は9月、早くも刈り取りを行った新米で仕込まれる.

毎年、地元新聞に「新酒の仕込み始まる」と、松尾酒造の社長が、蒸した米に麹を混ぜ込む姿が掲載される.

 

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(土佐山田の松尾酒造)

 

失礼ながら某県は、米もよい、水もよいが、どうもお酒はいまいちのように思う.

昔、「ビールは仕事じゃつくれない」という広告があった.

酒を造ることが好きで仕方ない、いい酒をつくりたい、という気合いが左右するのではないか.

日課だから、うまいのまずいのと贅沢は言わないが、同じ値段なら、おいしくないよりは、おいしい方が望ましい.

 

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(おわり)

 

 

2015年11月1日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一