45 仁淀川と紙の伊野、酒と桜の佐川

高知から西に、土讃線は伸びる.

中村から高知県の西端、宿毛まで特急列車が走る.

仁淀川に沿う紙の町・伊野、酒の町・佐川と辿ってみよう.

東は、岡山、大阪に順次近くなるのだが、西は行くに従って、都会から離れてローカル色が増す.

 

2017年3月31日 修正版

 

 

1.伊野

 

高知から伊野へ、JRの普通列車で20分であるが、観光的には、40分かかる路面電車がよい.

昭和を懐古する車両である.

昔、都会の町中で聞いた音、変わらないモーターの響きである.

鏡川橋からは単線になる.

ところどころの停留所で、上り下りの電車が行き違いをする.

線路は道路の端を通っている.

車道でない側にはホームがつくられているが、電車は進行方向左の扉しか開閉できない.

したがって、ホームのない側では、直接車道に乗降する.

高知のドライバーは、この事情を知っているので、電車の横を通るときは用心する.

 

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(路面電車の終点、伊野)

 

終点伊野は、仁淀川の水を生かした、古くからの紙の町である.

この路面電車も、もともと明治40年、紙を高知港に輸送するためにつくられた.

博物館、紙漉き体験施設、種々の和紙の販売店がある.

路面電車からはJRにすぐ乗換ができる.

駅舎は、貧弱な駅の多いJR四国には珍しく、本格的な建築である.

ただこんなに自販機が要るのかと思うが.

 

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(JR 伊野駅)

 

2. 仁淀川

 

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(仁淀川の鉄橋)

 

鉄道は伊野を出てすぐに仁淀川の鉄橋を渡る.

高台に「かんぽの宿」がある.

日帰り入浴が500円と安い.

 

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(仁淀川の流れ)

 

伊野から仁淀川の河口まで15kmである.

巨大な岩石で埋めつくされた、上流の渓谷とは、様相が全く違う.

その岩石が砕かれてできた白い砂利の河原である.

仁淀川には激しい増水と洪水があり、昔から治水工事が行われてきた.

さらに途中、波介(はげ)川が合流する.

互いの流量の制御がないと、逆流して洪水の範囲が広がる.

大土木工事が延々と続いていて、今も河口近くでダンプの大群が動いている.

 

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(左は波介川、仁淀川はその右奥)

 

日本全国、大きい川の河口は都市か工業地帯になっている.

密集した人家も、工場もない、仁淀川のようなところは他にない.

河口はサーフィンの適地であり、ウナギの稚魚の採集場所でもある.

 

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(仁淀川河口)

 

利根川、北上川の下流にも似たところがあるが、これらは大河川である.

おそらく、昔の淀川、江戸川はこのような雰囲気であったのではないだろうか.

仁淀、波介、両河川の堤防は複雑な構成で、間に昔の堤防や、広い耕作地が残っている.

ウオーキングによいが、突然行き止まりになったりするので、引き返すのはつらい.

ここはサイクリングである.

車もバリアはあるが、部分的には走れる.

ただし、堤防下の古い集落には入らない方がよい.

今回も堤防から集落に降りたら、三叉路があった.

両側は塀、後は石垣で、軽だがどうしても曲がり切れない.

やむなく傍の無人の家の庭先に入って、方向転換を行って切り抜けた.

高知ではよく、側面を盛大に擦ったライトバン、後ろを大きく凹ませた軽自動車を見る.

運転が下手なわけではなく、このような道の結果である.

 

3.佐川

 

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(西佐川)

 

さらに進むと西佐川である.

西に向かっているのに、「佐川」より「西佐川」が先なので、乗り越したかと思ってしまう.

たしかに地図上では「西」になるのだが.

ここは元来、松山に至る、未完成の「予土線」分岐駅として計画されたので、構内は広い.

立派な跨線橋もある.

次が佐川で、「司牡丹」の醸造場がある.

高知には18の蔵元があるが、ここがもっとも酒の町らしい雰囲気である.

電柱、電線がなければさらに良いが.

トラックが止まり、コンテナに酒壜を積んでいる.

高松まで運び、そこから列車で東京に向かうのだそうだ.

 

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(佐川の酒蔵)

 

一角に直売店があり、各種の司牡丹が入手できる.

思っていたものがなかったので、訊ねたら工場から持ってきてくれた.

 

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(佐川の鰻屋)

 

昔からの街道には古い鰻屋がある.

個室の座敷に通されるが、予約が必要である.

昔、鰻は待つことも食事の内、と言われ、客の顔を見てから捌いていた.

予約なら時間は短くできる.

座敷から裏庭の柿の木や、向こうの山を眺めてのんびりする.

それでいて高くはない.

 

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(佐川の横丁)

 

横丁を曲がった山麓に、資料館や佐川出身の植物学者、牧野富太郎の名をつけた公園がある.

桜の名所で賑わうが、どんちゃん騒ぎはなく、みんな楽しげに弁当を広げ、酒を酌み交わしている.

夜桜の席もあり、時期限定の桜餅も売っている.

初夏の時節、公園に出入りする人はなく、お寺経営の幼稚園の子どもたちの声が響く.

そろそろ退園のバスの時間だが.

 

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(牧野公園への道)

 

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(おわり)

 

2016年6月16日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一