41 宿毛から柏島へ、知られざる海を求めて.白砂のビーチ、龍ケ迫の断崖

高知でもっとも西になる町が宿毛(すくも)である.

宿毛から南へ、ダイビングで名高い柏島まで至る大月町の海岸は、断崖が続く.

断崖の間にある入江には、古くからの漁村がある.

海岸線に沿って、上り下りを繰り返しながら、道を辿ることができる.

 

(2017年4月5日 修正版)

 

 

  1.    宿毛

 

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(宿毛湾の朝)

 

どこでもそうだが、その土地で十分の時間を過ごさないと、良さはわからない.

宿毛は今まで何回も行ったし、仕事で泊まったこともある.

ただ、慌ただしく過ごして、雑然とした街のイメージしかもっていなかった.

しかし、素晴らしい魚の居酒屋に行き、丘の上で泊まり、初めて良さを認識した.

ということは、魅力がすぐに伝わってくる町ではない、とも言えるのだが.

宿毛は日本海軍の泊地であった.

呉工廠に近いので、大和など新造艦の試験はこの海域で行われた.

いま、米艦が寄港して、町に水兵が溢れることもある.

朝、海は忙しい.

養殖の餌を載せた船が、何艘もの小舟を引いて世話に向かう.

養殖棚へ出勤のため、全速力で浮き上がって走る船外機の舟も多い.

九州の佐伯から、3時間かけてやってくるフェリーが入ってきた.

 

2. 田ノ浦

 

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(田ノ浦 魚市場)

 

田ノ浦には宿毛の魚市場がある.

コンテナが魚ですぐ一杯になる.

 

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(シュモクザメ)

 

シュモクザメが揚がっている.

水族館で見れば愛嬌はあるし、ぬいぐるみも売っている.

ただ、やたら突起が網に引っかかる迷惑な形状である.

いかにも不味そうで、蒲鉾の原料にもならないように思える.

フカヒレにはなるらしいが.

 

3.タッチ

 

国道から分かれ、海岸の道に入る.

榮喜(さかき)の港から山越えをして、半島の先のタッチに向かう.

「タッチ」とは変な地名だが、昔から仮名で呼んでいるようだ.

 

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(山越えの道)

 

かなりの急カーブを下るとタッチである.

 

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(タッチ)

 

2軒の住家があり、船が2艘泊まっているので、少なくとも二人の住人はいるのだろう.

ここまで来る物好きもいないと思っていたが、車が1台やってきた.

3人の男が降りて、挨拶を交わすや、手慣れた様子で竿を振り出した.

エギと呼ぶ疑似餌でイカを釣る、「エギング」である.

 

 

4.白浜

 

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(浜を見下ろす)

 

道から下に砂浜が見える.

文字通りの「白浜」の集落である.

私道のようなので、車を置き、歩いて坂を下った.

婦人が草刈りをされていたので、断って浜に入る.

何代も住まれているようで、まさにプライベートビーチである.

 

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(波の寄せるビーチ)

 

5.竜ヶ迫

 

白浜からさらに南へ.

急傾斜の斜面を削って段畑がつくられている.

宇和島の水ヶ浦のように大規模ではないが、定規で引いたような垂直の壁である.

ご夫婦が手入れをしている.

潮風によってうまい芋ができる.

ここの干芋(高知で一般に「ひがしやま」という)は、デパートでワンパック2,500円で売られ、国際的名品である.

 

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(龍ケ迫)

 

男性が集会所の植木を刈っていた.

釣が好きで、ここに移ってきた.

船外機の舟を持っていて、港の先の小島の辺りで釣をしている.

足元から水深があるので、遠投しなくても釣れる.

祭りがあるので、だれかが手入れをしないとね、と話してくれた.

 

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(竜ヶ迫)

 

小高い場所に、小学校の校舎が残っている.

民宿として利用されているようだが、人影がない.

教室はもともと泊まるには向いていないスペースだから、さらなる仕組みが必要なのだろう.

 

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(元竜ヶ迫小学校)

 

大月町では、津々浦々にあった、中学校5校、小学校9校を統合して、それぞれ1校にした.

それでも小学校の卒業生は46名、新1年生は27名である.

廃校の後ろに、鯉のぼりが翻ってはいたが.

 

6.魅惑のエリア

 

国道を別れて40km、山を上り、崖を通り、数多くの集落を過ぎてきた.

遠くにゴールの柏島が見える.

その間で見た自動販売機は、ある漁港の2台だけであった.

商店はゼロである.

 

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(左が柏島、右遠くは沖ノ島)

 

宿毛から柏島に至るこの地域は、高知でもっとも豊かな観光エリアではないかと感じる.

一般に、観光について大きな誤解があるように思う.

・「観光スポット」のないところに人は来ない.

・人混みにならないとお金が落ちない.

しかし失礼ながら、伊豆や房総などの「有名観光地」は、ガキの行くところのように思われる.

限られた「点」ではなく、地域全体に魅せられる、何日も居たい、また来たくなる.

名所もないし、騒がしい人もいない.

そのような魅力を潜在的に持つのが、ここである.

ただし、人が来る仕組みはまだない.

それは大規模リゾートをつくることではない.

宿毛の先の工場に来ていたアメリカ人が話していた.

「朝、シカゴを発てば、関空で飛行機を乗り継いで高知へ、そして特急で宿毛に晩に着く」

宿毛からはクルーザーであっという間である.

 

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(レンタルボート)

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(おわり)

 

2016年4月21日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一