24  高知県民は、東京都民の60倍の土地を持っている

高知から東京に行くことがある.

行けば、ああ東京だなあ、帰れば、ああ高知だなあ、と感じる.

どこが違うのだろうか.

思うのは、「田舎のネズミ」の童話である.

田舎のネズミのところに、都会のネズミが来る.

芋や野菜の切れ端でご馳走する.

都会のネズミはいう.

「君はこんなものばかり食べているのか.一度都会に来てみたまえ」

田舎のネズミは都会に行く.

くすねたチーズやハムでご馳走される.

「ああおいしい.都会はすばらしいね」

ところが、その様子を伺っていたネコが飛びかかる.

危うくネコから逃れた田舎のネズミは、やっとの思いで田舎に戻る.

「もう都会はごめんだ.やっぱり田舎が良い」

高知が貧乏だというわけではない.

都会がずる賢いというわけではない.

生活観の違いである.

 

 

(2017年7月26日 修正版)

 

1.人口密度

 

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(マンションの52階から見た東京)

 

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(台風が近づく高知の岬)

 

東京都の人口は1,300万人余り、高知は73万人で、東京の1/60である.

人口密度は、東京は6,106人/平方km、高知は104人である.

高知では、一人当たり東京の60倍の土地で過していることになる.

随分過疎のように思われる.

しかし高知の人口密度は、フランスやオーストリアと同じである.

これらの国が過疎で困っているという話は聞かない.

むしろ生活にゆとりがあるとも感じられる.

フランスは、延々と広がる平野と農地の田舎である.

高知は山である.

フランスは平面だが、高知の土地は3次元である.

投影面積でなく、展開した面積では、フランスよりずっと一人当たりの土地は広い.

高知県民は土地持ちなのである.

高知の最大の美点は、人が少ないことではないだろうか.

人口増加策は不要である、というわけではないが.

 

⒉.鉄道の駅

 

人口の差を肌で感じるのは鉄道の駅である.

小田急新宿駅の、昼間の「閑散」時でも、急行は5、6分ごとに発着する.

扉が開くと、並んで待っていた乗客が、10両の電車に吸い込まれる.

ラッシュのホームなら、次の電車を待つ人、またその次を待つ人、さらにその次の次を待つ人の三つの列ができる.

急行以外にも、特急、各駅停車が別のホームから出る.

 

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(昼間の小田急新宿駅)

 

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(高知の路面電車、県庁前)

 

高知駅を発着するJRは、多くて30分、大体は1時間ごとである.

市内の路面電車は数分おきだが、これは1両である.

 

3.家に帰る

 

以前東京に住んでいた.

新宿から混んだ電車に立って40分、ニュータウンの駅に戻る.

夜の駅前の緑に、やれやれ帰ってきた、と一息つく.

ここからバスで10分、家近くのバス停にたどり着く.

バスが終わっていればタクシーである.

この時間、少しでも早くタクシーに乗るべく、電車を降りた客は一斉に走り出していた.

遅れをとると、次の電車で着いた客がもう走ってくる.

 

nagayama

(多摩ニュータウン・永山駅前)

 

いま高知で最寄駅を降りると、街灯がぽつりぽつり灯るが、辺りは闇である.

ほっとする、というより、誰もいないなあ、と思う.

タクシーは呼べば来るが、30分歩いて帰ることもある.

 

ヤシーパーク駅

(ごめん・なはり線、夜須駅)

 

4.高知の生活費

 

高知の生活費はどうか.

地方は生活費が安いと言われる.

高知で取れる旬のもの、たとえば野菜ならナス、ニラ、ピーマンなどは安い.

魚なら揚がりたてのアジ、サバ、養殖の盛んなタイ、カンパチなどは安い.

東京と値段が同じとしても、ものは比較にならない.

ただ肉類は同じだし、全国チエーンの衣料品は、高知が安い訳ではない.

「高知の物価は安い、生活費がかからない」というより、「お金のかかる生活をする必要がない」と言う方が正しい.

たとえば、上下各1,000円の服装で、どこに出かけても引け目は感じない.

何々はあそこでなくては、買うならあの店、などと、吟味の必要はない.

ただ安さは、折り込みチラシで厳しくチエックされている.

そもそも店があるわけではなく、ちょっとした買物は、高知市内の帯屋町か、イオンに限られる.

車は基本的に軽である.

田舎道は狭いから適合もしている.

ただし、公共交通機関が少ないので、一人1台である.

家族全部でトータルすれば、一家に1台の高級セダンと変わりないとも言えるが.

さらに言うなら、軽トラで十分である.

ホームセンターで大物を買って帰るのに便利である.

冠婚葬祭、これで乗り付けて何の違和感もない.

却って「お仕事でお忙しい中、まことにありがとうございます」と感謝される.

 

ginza

(銀座の夜)

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obiyamati

(高知の帯屋町商店街)

 

人の少ない空間を誰はばかることなく闊歩し、 万事お金をかけずに満足する、これが高知の生活である.

一人当たり所得が、全国一低い現状を肯定しているわけではないが.

 

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(おわり)

2015年9月17日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一