76 四万十川を源流から下る-のどかな上流を窪川まで

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四万十川のイメージは、沈下橋のある、ゆったりと流れる幅広い川である.

源流から始まり、南に向かう窪川までの上流、方向を変え西に向かう中流、そして南に河口に至る下流に分けられる.

イメージとして持たれているのは下流なのだが、上流、中流にもそれぞれの良さがある.

上流を探ってみよう.

 

2017年9月14日 最終版

 

 

1.源流

 

四万十川は四国最長の川で、源流点から河口まで250kmある.

しかし直線で結ぶと、たった60kmである.

それだけ寄り道をし、屈曲して流れているのである.

 

(源流の山)

 

源流点は、標高1,336mの不入(いらず)山にある.

昔、名の通り、藩が伐採を禁じていた.

国有林で、西側は森林鉄道が敷かれて伐り出された.

しかし、今も30%が自然林で、明治期の樹齢120年の造林地もあるという.

 

(源流点近く)

 

源流点には林道を上って行く.

品川ナンバーの車に出会ったが、行き違いは不得手のようで、こちらが後戻りした.

車道に碑があり、そこから25分登山道を歩けば、源流点に達する.

 

2.谷を出る

 

(山を出た四万十川.津野町中村)

 

四万十川の特徴は、甚だしく蛇行していることである.

流域の傾斜が緩やかで、かつ水量が非常に多いためである.

蛇行によって山は次々に削られ、土砂がその間に滞積する.

それが川沿いに豊かな水田をつくる.

渓谷を出たところだが、もう蛇行が始まっている.

 

(津野町の菓子工場)

 

津野町が名物にしている、菓子「満天の星」の工場がある.

町の急傾斜地でつくられるお茶も名産である.

カフェが併設されているし、高知市内にもアンテナショップがあり、町のなかなかの努力である.

 

3.沈下橋

 

(高樋沈下橋)

 

源流から10kmほどのところに、最初の沈下橋がある.

お母さんが子ども3人を遊ばせる、のどかな光景である.

ただ、これは地元の人だからできることである.

ここ2週間ほど雨が無く、さすがの四万十川の水量も減った.

普通なら砂利の河原がほとんど隠れていて、流れも速い.

第一、沈下橋があるのは、それを越える出水があるということである.

左の水田の際まで、浸かるのではないか.

10kmでもうこれだけの水量があるのだから、一帯の降雨は激しい.

それが豊かな森林と「最後の清流」をつくっている.

 

(久万秋、飲料水工場)

 

「四万十の水」の工場がある.

付近には自然の湧水があり、四万十の知名度を利用しただけのネーミングではない.

 

(長野沈下橋)

 

沈下橋の多くは、今も生活道として使われている.

アユやウナギを捕る姿が見られる.

 

(一斗俵沈下橋)

 

一斗俵(いっとひょう)は1935、昭和10年につくられた現存最古の沈下橋で、登録有形文化財である.

沈下橋はのどかに見えるが、付近での水遊びは極めて危険である.

川の中に橋脚の異物が立っているので、水中に渦が巻き、複雑な流れと深い淵ができる.

表面からはわからないので、よく水難事故が起きる.

ここでは、橋のたもとに大小二つの救命浮輪が置かれている.

 

4.小さな発電所

 

(水路橋)

 

道路に沿って、鉄製の構造物が続いている.

これは発電用の水路である.

 

(発電用水路)

 

四万十川に小さな堰があり、そこから引いている.

農業用水に近いが、現役で、電力会社の係員が点検を行っていた.

 

(松葉川発電所)

 

末端には、1925、大正14年につくられた発電所がある.

ここまでの落差は30m弱、長い水路で稼いできた.

最大出力は320kWで、多くのダム式発電所は2-4万kWだから、その1/100の、可愛らしい発電所である.

 

5.川に沿って

 

四万十川に沿って下るには、川の左岸(東岸)の道が普通であって広い.

これで十分にのんびりしているが、右岸(西岸)はさらにのんびりしている.

 

(右岸の道)

 

道は狭いが、通るのは地元の軽か、デイサービスの老人の送迎車くらいである.

行き違いに戸惑っていれば、向こうが気をきかせて譲ってくれる.

 

(暮れる四万十川)

 

川岸の草がなぎ倒されて茶色になっている.

先日の大雨のとき、ここまで水が来たのだろう.

 

 

(窪川、西川角)

 

小さな集落をときどき抜ける.

道に沿う用水路は、清冽な流れである.

民宿もある.

寂しければ、窪川の夜の街に繰り出すこともできる.

やがて、コンビニやホームセンターが現れ、窪川の町に入る.

四万十川はここで直角に流れを変え、向こうの山裾を流れてゆく.

 

(四万十川にかかる橋.手前が窪川の街)

 

高知に来て四万十川に行きたいという人は多い.

しかし、中村など下流に行くなら、一泊しないとハードスケジュールになる.

「上流」は近いし、沈下橋もあって、「ミニ四万十川」として十分に味わえる.

 

(おわり)

 

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2017年9月10日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一