高知学87 高知の食卓、高知の食事 2

高知の食卓の主役は、何といっても魚である.

カツオだけではなく、太平洋からはいろいろの魚が揚がってくる.

鮮度は申し分ないが、高級魚であるほど、頭の上を通過してどこかに行ってしまう.

今回は、タイ、ヒラメ、サメ、シイラ、アジとしよう.

 

2018年5月16日 改訂版

 

 

1.タイ

 

春先、近くの西分(にしぶん)漁港には「鯛の日」がある.

いつかはわからない.

「鯛網」を使って、タイが大量に揚がる.

 

(西分漁港)

 

夕方、漁港に行ったら、丁度「鯛の日」であった.

タイが次々と発泡スチロールの箱に収められる.

一箱に5匹ほど入れられるが、袋に入ったLサイズは1匹だけで、箱にその重さが書かれている.

箱に入りきらなくて、尻尾がはみ出ているものもある.

最大は4.1kgで、「東京」と行先が書かれている.

優勝祝、当選祝にふさわしい.

 

(トラックに積む)

 

一つのパレットに箱が70個くらい、トラックに5パレット積んでいたから、一箱5匹とすると1,750匹になる.

鯛網はシラスを採る方法と似ている.

バッチと呼ばれる袋状の網を沖で2隻の船の間に下ろして、タイの群れをぐるりと囲む.

シラスは軽いから、これを狭めて海上で揚げるが、タイは重いのでそうはいかない.

網を狭めながら、時間をかけて浜に近づけ、最後は地引網の要領で、網の左右を2台の重機で引き上げる.

近くの直販市にこのタイが出た.

大きいのは千円台だが、二人では食べきれないので、700円にした.

 

(春の鯛)

 

この日は刺身とあら煮、翌日は寿司にした.

 

2.ヒラメ

 

タイと来れば、浦島太郎の昔からヒラメである.

昼前、近くの手結(てい)漁港に寄ったら、腰の曲がったご夫婦が、漁船からタイとヒラメを上げていた.

 

(魚を上げる)

 

老婦人では無理で、漁協の女性職員が走り寄って手伝う.

ヒラメは1kgのものが何枚か揚がっている.

 

(ヒラメ)

 

近くに居た人の話では、この人は以前シイラ漁をしていたが、体力的にきついので、今は凪の日だけ刺し網漁をしているそうだ.

夕方、魚の通り道に網を張る.

ヒラメは夜行性があって網に刺さるので、それを翌日の朝引き上げる.

ただしこれを狙ってサメが来るから、これも揚がる.

 

(シュモクザメ)

 

シュモクザメと普通の「サメ」型のサメがあるが、招かれざる客で、扱いはぞんざいだ.

皮に近いところを酢味噌で食べれば美味いそうだが、好んで食べるものでもないように思う.

テレビで見たオーストラリアの居酒屋では、ミンチにしてパイに入れていた.

 

(家に戻る)

 

老夫婦は船に戻って帰って行ったが、腰の曲がったドライバーが10トン車を運転している趣であった.

 

(ヒラメとアジ)

 

このヒラメは大き過ぎて家庭では持て余す.

さりとて切身にして売るには勿体ない.

やはり「業務用」だろう.

小さいヒラメが手に入ったことがあって、釣りのお裾分けのアジと共に寿司にした.

エンガワは刺身である.

 

3.シイラ

 

(シイラ)

 

シイラは、高知で年中よく獲れる.

大きい魚で体長2mにもなり、カジキマグロと共にトローリング競技のターゲットでもある.

シイラは、生きているときと死んだときとでは全く違うらしい.

 

(シイラ漁のヤマモモ)

 

漁は港から1時間の沖合に、長い竹を組んだ下にヤマモモの枝を吊るす.

シイラは物陰に集まる習性があり、あたりをぐるぐる回り出すので、そこを捕らえる.

1か所で1トン揚がることがあるという.

漁師さんが、今度連れていってやるよ、と言ってくれた.

刺身や切身で売っていて、沢山獲れるし大きいので安いが、大味ではある.

フライにして、フイッシュアンドチップスで売り出すのがよいと思っているのだが.

 

4.アジ

 

アジは高知でもっとも大衆的な魚である.

大きいの、小さいの、年中売り場にある.

刺身、寿司、塩焼き、干物、何でもよいが、アジのフライは総菜、弁当の定番である.

 

(地元スーパーの総菜売場)

 

直販所に活締めアジが出ていた.

何の動物でも絶命後すぐ血を抜かないと、血液が滞留して味が落ちる.

魚もそうで、活締めは船上ですぐ頭を切って血を流す.

しかし魚は生き造りでわかるように、血を出してもまだ筋肉は動いている.

そのままだと筋肉が疲労して老廃物が溜まり、鮮度が落ちる.

そのため背骨に針金を通し、神経を除く.

アジでは初めて見た.

漁師さんも工夫を凝らすが、見た目悪いのが難点かもしれない.

 

(活締めアジ)

 

5.シラス

 

シラスはチリメンとも言われるが、イワシの稚魚であり、高知の沿岸一帯が漁場である.

 

(シラス漁)

 

2艘の船が組になり、間に渡した細かい網をゆっくり引いて集める.

年中漁がある.

 

(ドロメ)

 

生のものがドロメで、毎日直販市にパックが山盛りになっている.

生だから、その日のものを、その日中に食べなくてはならない.

いつも夕方には無くなっているから、高知の人はとてもドロメが好きなのだなあと感心する.

ニンニクの葉のぬたをつけて食べるが、これもパックを売っている.

「のれそれ」というのがあるが、これはアナゴの稚魚である.

ドロメを茹でたものがシラスである.

茹で上がったものが「釜茹で」、その後30分ほど天日で干したものが「釜揚げ」、さらに干したものが「かちり」である.

炊き立てのご飯にシラスを山盛りにして、レモンと醤油を落としてかっ込む.

シラスが少なくなれば、どんどん継ぎ足す.

 

(シラス丼)

 

6.肉

 

では、高知では魚しか食べないのか.

いや、高知県民がファミリーやグループで外食となると、まず焼肉である.

人口当たりの焼肉屋数は日本有数ではないか.

いずれ探訪しよう.

 

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高知で魚グルメ

高知の食事、高知の食卓 1

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(おわり)

 

2018年3月3日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一