高知学84 歩きへんろの道を辿る3 禅師峰寺から清滝寺

八十八か所の四国遍路、高知の歩きへんろ道を辿る.

不精をして軽自動車で歩いている.

へんろ道は街道と違って、組織的な整備や普請がなされてきたわけではなく、自然発生的に生まれたものである.

従って絶対これ、というルートはないし、河川改修や農場整備で消えているところもある.

しかし、分岐や曲がり角など、とんでもない方向に行かないよう、昔から要所に、寄進による道しるべがつくられている.

特段の名所が無くても、急がず慌てず、のんびりと野良道を歩くのが、へんろの醍醐味であろう.

今回は高知市の南、32番禅師峰(ぜんじぶ)寺から、西へ35番清滝寺までとする.

 

2018年1月25日 最終版

 

 

1.禅師峰寺

 

(禅師峰寺)

 

禅師峰寺は、土佐湾に面した標高80mの小山の上で、大変眺めが良い.

西にクルーズ船も入る高知新港があり、その先、浦戸湾の対岸に桂浜が見えている.

 

(桂浜が見える)

 

山を下って、浦戸湾口に長く伸びた砂嘴にある種崎に向かう.

湾には浦戸大橋がかかっていて、歩道があることはあるが、狭くて危険である.

種崎と対岸の御畳瀬(みませ)を結ぶ無料の渡船の利用がよい.

1時間に1本あり、5分で着く.

 

(種崎から見た御畳瀬、左端が船着場)

 

2.雪蹊寺

 

上陸して長浜の堀に沿って進むと、雪蹊寺の前に出る.

御畳瀬も長浜も古い漁村であり、漁師さんの信仰を集めていたのであろう.

 

(長浜)

 

歳末で、境内には正月用品を売るテントが出ていた.

 

(雪蹊寺)

 

門前には、新築された小綺麗でかつ安い遍路宿がある.

高知市内に行けばいくらでも宿はあるが、バス往復の時間がかかる.

ここならロス時間ゼロで歩き出せるから、お遍路さんにとってうれしい存在である.

 

3.種間寺

 

田園に出て種間寺に向かうが、水田の中に小山が点々とあり、道がいろいろの方向に通じて迷いやすい.

そのため、昔からの道しるべが多い.

ただし、苔むして字が判り難い.

実用的に言えばタワシで洗いところだが.

 

(道しるべ)

 

やがて田畑の中の種間寺が見えてくる.

素朴なたたずまいの村の寺である. 

 

(種間寺)

 

(種間寺本堂)

 

札所でのお詣りである.

それぞれのお寺には、昔からのご詠歌があり、本堂に掲げられている.

江戸時代の作法では、ご詠歌を三回唱えることとなっている.

しかし今、お遍路さんが鈴を振ってご詠歌を唄う姿は見たことがない.

歌われなくなったのはそう昔のことではないと思うが、何故なのだろう.

思うに、ご詠歌は自分を無にして、ひたすらに仏を讃え、その加護を願うものである.

お遍路さんの心情が違ってきているのではないだろうか.

一方的な帰依ではなく、これだけがんばっている自分を支えてほしい、という積極性が大きいのではないか.

 

4.清滝寺

 

野の中の一本道を行くと、仁淀川の岸に出る.

昔は高い堤防や橋は無かったから、このお堂の辺りで河原に入り、渡し舟を利用した.

 

(仁淀川)

 

対岸が土佐市高岡町で、町の外周を清滝寺に向かう.

高速道路から山の中腹にお寺が見え、随分高いところにあるなあ、と思っていたが、これが清滝寺であった.

 

(清滝寺)

 

(登り口)

 

今では、どの山のお寺も車道が通じているが、道幅は狭い.

車の遍路では、軽の方がストレスなく行けるだろう.

以前この道を40人乗りのバスが上がって、途中でつかえて動けなくなったことがあったそうだ.

 

(本堂と大師堂)

 

札所の寺には、本尊をお祀りする本堂と、弘法大師を祀る大師堂がある.

大抵は少し離れたところにあり、大師堂の方が小さい.

しかしここでは、二つが同じ大きさで並んでいるので、本堂が二つあるように感じられる.

大きな如来像の下は、「胎内潜り」の場である.

暗黒の中に入るのはいささかためらわれる.

通りかかったご住職に、荷物を背負って入ったお遍路さんがつかえたことがあったが、右手で壁を辿ってゆけばよいと教えられた.

 

(胎内くぐり)

 

やがて、暗闇の中に祭壇が浮かび出る.

 

 

(おわり)

 

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2018年1月20日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一