高知学84 車で辿る歩き遍路道 3 禅師峰寺、雪蹊寺、種間寺、清滝寺

八十八か所の四国遍路、高知の歩き遍路道を辿る.

足に自信がなく、軽自動車で歩いている.

遍路道は街道と違って、組織的な整備や普請がされてきたわけではなく、自然発生的に生まれたものである.

従って絶対これ、というルートはないし、河川改修や農場整備で消えているところもある.

しかし、分岐や曲がり角など、とんでもない方向に行かないよう、昔から要所に、寄進による道しるべがつくられている.

特段の名所が無くても、急がず慌てず、のんびりと野良道を歩くのが、遍路の楽しさであろう.

今回は、32番禅師峰寺、33番雪蹊寺、34番種間寺、35番清滝寺である.

 

2018年4月21日 修正版

 

 

1.禅師峰寺

 

(禅師峰寺)

 

禅師峰(ぜんじぶ)寺は、土佐湾に面した標高80mの小山の上で、大変眺めが良い.

西にクルーズ船も入る高知新港があり、その先、浦戸湾の対岸が桂浜である.

 

(桂浜が見える)

 

山を下って、浦戸湾口に長く伸びた砂嘴にある種崎に向かう.

湾には浦戸大橋がかかっていて、歩道があることはあるが、狭くて危険である.

種崎と対岸の御畳瀬(みませ)を結ぶ無料の渡船の利用がよい.

1時間に1本あり、5分で着く.

 

(種崎から見た御畳瀬、左端が船着場)

 

2.雪蹊寺

 

上陸して長浜の堀に沿って進むと、雪蹊寺の前に出る.

御畳瀬も長浜も古い漁村であり、漁師さんの信仰を集めていたのであろう.

 

(長浜)

 

歳末で、境内には正月用品を売るテントが出ている.

 

(雪蹊寺)

 

門前には、新築された小綺麗で安い遍路宿がある.

高知市内に行けばいくらでも宿はあるが、バス往復の時間がかかる.

ここならロス時間ゼロで歩き出せるから、お遍路さんにとってうれしい.

 

3.種間寺

 

田園に出て種間寺に向かうが、水田の中に小山が点々とあり、道がいろいろの方向に通じて迷いやすい.

そのため、昔からの道しるべが多い.

ただ、苔むして字が判り難い.

実用的に言えばタワシで洗いところだが.

 

(道しるべ)

 

やがて田畑の中の種間寺が見えてくる.

素朴なたたずまいの村の寺である. 

 

(種間寺)

 

(本堂)

 

札所でのお詣りである.

それぞれのお寺には、昔からのご詠歌があり、本堂に掲げられている.

江戸時代の作法では、ご詠歌を三回唱えることとなっている.

しかし今、お遍路さんが鈴を振ってご詠歌を唄う姿は見たことがない.

歌われなくなったのはそう昔のことではないと思うが、何故なのだろう.

思うに、ご詠歌は自分を無にして、ひたすらに仏を讃え、その加護を願うものである.

お遍路さんの心情が違ってきているのではないだろうか.

一方的な帰依ではなく、これだけがんばっている自分を支えてほしい、という積極性が大きいのではないか.

 

4.清滝寺

 

野中の一本道を行くと、仁淀川の岸に出る.

昔は高い堤防や橋は無かったから、このお堂の辺りで河原に入り、渡し舟を利用した.

 

(仁淀川)

 

対岸が土佐市高岡町で、町の外周を清滝寺に向かう.

高速道路から山の中腹にお寺が見え、随分高いところにあるなあ、と思っていたが、これが清滝寺であった.

 

(清滝寺)

 

(登り口)

 

今では、どの山のお寺も車道が通じているが、道幅は狭い.

車の遍路では、軽の方がストレスなく行けるだろう.

以前この道を40人乗りのバスが上がって、途中でつかえて動けなくなったことがあったそうだ.

 

(本堂と大師堂)

 

札所の寺には、本尊をお祀りする本堂と、弘法大師を祀る大師堂がある.

大抵は少し離れたところにあり、大師堂の方が小さい.

しかしここでは、二つが同じ大きさで並んでいるので、本堂が二つあるように感じられる.

大きな如来像の下は、「胎内潜り」の場である.

暗黒の中に入るのはいささかためらわれる.

通りかかったご住職に、荷物を背負って入ったお遍路さんがつかえたことがあったが、右手で壁を辿ってゆけばよいと教えられた.

 

(胎内くぐり)

 

やがて、暗闇の中に祭壇が浮かび出る.

 

 

(おわり)

 

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2018年1月20日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一

高知学83 JR四国バースデイ切符で四国4県を早回り

JR四国には、誕生月に格安で全線特急が乗り放題となる「バースデイ切符」がある.

12月なので、四国4県、高知、徳島、香川、愛媛を日帰りで回って帰ることにした.

切符にはグリーン車用と普通車用があるが、グリーン車は土讃線、予讃線だけだし、予約が必要で思いつくまま、とはゆかない.

9,500円の普通車にした.

 

(2018年1月11日 最終版)

 

1.土讃線 

土佐山田712発 南風4号 阿波池田811着

 

(土佐山田駅前)

 

長距離切符があるので、最寄駅、土佐山田の無料駐車場に車を停める.

昔、駅前には食堂があり、ガラス棚からおかずを選んで暖かい朝飯が食べられたのだが、無くなって久しい.

駅舎のキオスクやパン屋も無くなって、今はコンビニである.

やってきた特急は、本線最長の7両である.

徳島県に入り大歩危に着く頃、山上にある家々に、上から順にに陽が射してきた.

 

(阿波池田)

 

阿波池田は徳島線に接続する山峡の駅である.

機関庫の跡地にアパートが建ったりはしているが、構内は昔のままに広く、蒸気機関車時代の面影がある.

これから乗る「剣山」が待っている.

 

2.徳島線

阿波池田834発 剣山4号 徳島947着

 

徳島線の特急は停車駅が多く、「快速」に近い.

もっとも、短距離の四国の特急料金は安く設定されている.

徳島県に入って気付くのは、畑の間にソーラーパネルを並べた土地が多いことである.

別に耕作に不適なところではない.

徳島県人は、実利を重んじ抜け目がないということだが、その現れだろうか.

 

(石井駅)

 

川沿いの人口が多いので、徳島に近い駅には早くから跨線橋が設けられ、鉄道院時代の古いものが残存している.

石井は大正4年、蔵本は明治43年、と鋳鉄の柱に鋳出されている.

階段の幅が広いため、幹線のものを移築したと見られる.

駅の建物のペンキは、以前は趣味の悪い桃色や薄緑であったが、最近は落ち着いた色になった.

 

(徳島駅構内)

 

四国四県で、高松、高知駅は改築され、松山は高架化が予定されている.

徳島は昔のままで、構内のイメージは、蒸気機関車8620が煙を上げていた頃と変わりない.

ホームの擁壁の下部も煉瓦で、懐かしい風景ではある.

 

(徳島駅ホーム)

 

3.高徳線

徳島1028発 うずしお10号 高松1137着

 

(吉野川を渡る)

 

吉野川の長い鉄橋を渡る.

高知県大川村の、早明浦ダム湖を経由して流れた水である.

 

(「うずしお」の先頭から)

 

高徳線の特急は昔から1時間おきで、大いに稼いできた.

大坂峠を越えると香川県に入る.

線型も良く、直線、曲線とも高速運転で、並行する道路の車を次々に追い越し、胸のすく走行である.

栗林公園の森を左に見て高松に着く.

 

4.予讃線

高松1150発 いしづち9号 松山1415着

 

栗林公園もあるが、冬でもあるし、接続する予讃線にすぐ乗換えた.

普段は高松発と岡山発、それぞれの列車が宇多津で併結される.

しかし年末の帰省対応で、全車が岡山発となり、乗車が少ない高松発は多度津までとなって、乗換えを要する.

 

(2両の多度津行特急、高松)

 

(岡山からの特急、多度津)

 

両方とも「インスタ映え」する特急で、若いお母さんがスマホを構える.

 

(「いしづち」の車内)

 

今日は12月30日、予讃線はもともと利用者が多いが、デッキ、車室内とも立つ人で一杯である.

網棚(網ではないが)には荷物がぎっしりで、久しく見なかった光景である.

今田舎では、荷物は座った席の横に置くのが普通である.

しかし都会では膝の上に置く.

自分も山手線などで、つい横に置いたりするのだが、気がついて慌てて膝に置き換える.

この「いしづち」では横に置けないが.

 

(予讃線の海)

 

川之江を過ぎると次々降りる人が出てきた.

海を眺めて走るが、島々は皆愛媛県で、瀬戸内海はほとんど香川と愛媛の領分なのである.

松山に到着.

宇和島行特急に乗り換えれば、予土線で窪川へ出て、四国一周ができる.

しかし、夜の予土線を通ってもあまり面白くないし、窪川の夜の駅前は寂しい.

松山市内を電車で歩き、来た道を戻ることにした.

 

(歳末の大街道)

 

道後温泉には新しく「飛鳥の湯」が出来ている.

本館の趣は良いのだが、かつての夕方の銭湯以上の混雑で、辟易する人も多い.

繁華街、大街道の百貨店に入ると、大変な人だかりである.

ホールで「第九」の演奏中であった.

 

(百貨店での第九)

 

スペースのあるなしは別にして、歳末の百貨店での第九は、高松はともかく高知や徳島では考え難い.

 

5.予讃線、土讃線を戻る

松山1628発 しおかぜ26号 多度津1825着

多度津1859発 しまんと7号・南風21号 土佐山田2037着

 

(松山駅)

 

松山には、JR松山、伊予鉄松山市と二つの駅がある.

「文化的」な松山にそぐわず、両駅ともぱっとしなくて、付近にもロクに店がない.

JR駅では「路面」電車に乗るには「地下」道を通らなくてはならない.

 

(予讃線の夕暮れ)

 

西の山に夕焼けが残る.

 

(多度津での併結作業)

 

多度津で下車、土讃線特急に乗り換える.

岡山からの5両の「南風」に、高松からの「しまんと」2両が併結される.

一旦停止を3回繰り返す、慎重な作業である.

 

(夜の土讃線)

 

「しまんと」はもともと空いているが、年末、四国内を往来する人の動きは絶え、ほとんど乗客がいない.

夜の山中、時折通る車のヘッドライト、ガソリンスタンドの明かりだけが窓外に見える.

 

(夜の土佐山田)

 

土佐山田に戻った.

貨物側線跡に建っているビジネスホテルの壁が浮かぶ.

 

(おわり)

 

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2018年1月4日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一