12 「いごっそう」「はちきん」とは何か?いいのか?悪いのか?

高知では、いかなる場合も自分が中心である.

宴会は「自説を大声で主張する」ことが目的である.

喫茶店に集う女性の目的は「課題解決について主張する」ことである.

なぜ高知民族にこのような文化が生まれたのか.

高知の男性は「いごっそう」、女性は「はちきん」とされる.

いごっそう、はちきん、とはそもそも何なのか.

そしてなぜ、生まれたのか.

日本人は農耕民族で、欧米人は狩猟民族であるとされる.

高知が異質なのは、高知民族が狩猟民族だからである.

 

2017年9月20日 改訂版

 

 

1.  農業

3月中ごろから田植えが始まる.

昔は二期作をやっていたのだから、いわばいつ植えてもよいのである.

「いつ」かはその人の判断による.

日本の多くの土地のように、「山の雪が消えたから村中総出で」というのではない.

3月がよいと思えばそうするし、7月が良いと思えばできる.

 

(香南市.3月30日、これから田植えができる)

 

最大限に利益を得る、狩猟民族的発想が必要である.

一致した方針の下で全員が協力する、共同体的農耕民族の発想ではない.

 

2.漁業

 

完全な狩猟である.

内海の穏やかな海で、釣り糸を垂らす漁業ではない.

カツオの一本釣りでは、他者をいかに出しぬいて、優秀な漁場を見出すかで億円単位の漁穫が決まる.

かつて高知で盛んであったクジラ漁の相手は、魚ではない.

狩猟に他ならない.

今ではホエールウオッチングの対象となっているが.

 

whalewwatch2081

(上川口からのホエールウオッチング)

 

3.  林業

 

かつては、平地の人よりも、山に住む人の方が収入は多かった.

山には新日鉄と日本石油があったと考えてよい.

建物でも、橋でも、構造材はすべて木材であった.

家庭の燃料はすべて薪炭であった.

人里離れた伐採地で優良な木を見出し、それをどの方向にどう切り出すかは個人の目と技量による.

搬出には木馬が用いられた.

橇に1トンもの材を載せ、丸太が並んだ枕木の上を、操る人が梶棒一つの操作で下ってゆく.

危険と隣り合わせの個人の判断による.

伐採のない冬では、多くの人が狩猟を行っていた.

今でも高知県民の銃砲所有率は高い.

 

nisikumamori087

(物部 西熊の伐採地)

 

農業、漁業、林業、すべてに個人の判断と自己主張が重要である.

狩猟民族の文化に他ならない.

 

4.  いごっそう

 

高知の男性は「いごっそう」とされる.

一般に「いごっそう」とは、主張の強い人、頑固な人を指すと言われる.

しかし、それなら高知の男性は、ほとんどがあてはまる.

 

semaimiti

(突然狭くなる道)

 

高知の道を走っていると、突然狭くなることがよくある.

そこには「いごっそう」が関与していると考えて間違いない.

「いごっそう」とは、自己主張の頂点であり、気楽に話されるような生易しいものではない.

いかに金がかかろうとも(あるいは損をしようとも)、一生をそれに捧げようとも、絶対に自己主張を貫く.

この崇高?な思想の持ち主が、真のいごっそうである.

それだけに、周辺には多大の影響を及ぼす.

高知の人なら、身近に何人かの名前と顔が浮かぶであろう.

 

5.   はちきん

 

「はちきん」とは、一般に、明るく、活発で、大声の女性とされる.

県外のお客が来たときには、居酒屋の小上がりに案内することにしている.

そこには必ず女性グループが大ジョッキで盛り上がっていて、来客は口をあんぐり開けて見ている.

よく言う「はちきん」の光景である.

農業は女性の作業によるところが多いし、漁業、林業では夫が何カ月も帰らないこともある.

女性が家庭の主導権を持っている.

夫を陰の苦労で支えるのではない.

また、声が大きくなくては野外で通じない.

しかし、はちきんの本質はこのような外面的なものではない.

大阪の女性は、ガラガラ声でド派手、と言われる.

大阪で育った.

大阪の中心、船場の「いとはん」(長女)、「こいさん」(末女)は、京都よりはるかに雅であり、かつ凛とした女性たちであった.

船場の女性は、商家を守る使命感と主張が、振る舞いとなって現れている.

自己主張の結果であるド派手な服装と、根底では変わりない.

 

(高坂学園老人大学の聴講生)

 

高知では、今も「お城下」という言葉が使われる.

そこには、声は大きくなくとも、「山内一豊の妻」以来の、城下を守る信念の女性たちがいる.

そのような人たちが、歳をとっても学び、議会を傍聴し、政治に対する主張を持つ.

「はちきん」は外見や行動で規定されるものではない.

真の「はちきん」は、強烈な自己主張を持つ、狩猟民族の女性なのである.

 

 

夫婦間で自己主張の対立があるとどうなるか.

それは離婚である.

以前、高知の離婚率は、北海道と並んで全国トップであった.

現在はそこまで多くはないが、上位であることには間違いない.

 

関連記事リンク:看板のない店、女性は喫茶店に何を求める?

        高知の移住非公式ガイド 2

高知学トップページに戻る

 

(おわり)

2015年3月19日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一