6 高知県民の酒の飲み方は?宴会での議論とは?宴席の心得は?

高知県民はなぜ酒が好きなのだろう.

酒を呑む目的は何だろう.

本当に酒が強いのだろうか.

高知の酒には1,000年以上の歴史がある.

紀貫之は「土佐日記」で、934年の土佐出立を記している.

別れに当たって盛大な宴会が続いた.

子供までが酔っぱらってよろよろ歩いている.

幕末、山内容堂は大酒で健康を害した.

山内家当主が、地元酒造会社のCMの宴会シーンに出ていたことがある.

高知では「さすがに呑みっぷりがえい!」と褒められていた.

 

(2017年9月20日 改訂版)

 

1.高知県民と酒

 

2014年3月の地元新聞・こども欄に、都道府県の統計のはなしがあった.

盛り上がっている宴会の写真と共に、「お酒」について次のように記している.

「高知の人はお酒好きと言われています.

ところが「ビール」の量は46位(18.19L).

あれっと思っていると、ビールより安くて味を似せた「発ぽう酒」が断トツトップの56.44L(2位の新潟市は44.77L).

そして、お店で飲む「飲酒代」は全国一の3万4550円.

2位の東京都区部(2万6580円)を引きはなし、全国平均(1万7037円)の2倍です.

家では安めの発ぽう酒をたくさん飲み、外ではお金を使ってでも飲む.

高知の大人たちのすがたが見えてきます」

「高知の大人たち」も形無しだが、これにはわけがある.

 

 

2.酒の看板

 

高知の道を走れば、スーパーでも、ドラッグストアでも、コンビニでも 、「酒」の看板が目につく.

だからといって、各店で焼酎の大ボトルや、「発ぽう酒」のカートンを抱えた客が大変目につくわけではない.

それよりも店に対する認知力、いわば「酒も売っていない店に買い物に行けるか!」ということと思われる.

 

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3.   酒の飲み方

 

高知の酒呑みに「あなたはどこで酒を飲むのが楽しいですか」というアンケート調査を行ったとする.

1)家で晩酌

2)知り合いと飲む

3)宴会・お客

「お客」とは、もともと自宅を開放して、誰が来てもよし、飲んでもよし、という催しを意味していた.

現在では形式に捉われない盛大な飲み会として使われる

4)バー、クラブ

おそらく3,2,…の順ではないだろうか.

ある酒呑みは、「わしゃ家では絶対に酒は呑まん!女房相手に酒を呑んで何が楽しい!」と話していた.

「白露の酒を一人静かに…」という境地は、高知の酒からはほど遠い.

それであれば、家で飲るのはアルコール摂取の生活習慣に過ぎず、高い酒など飲む必要はない.

「ビール」ではなく「発ぽう酒」で十分ということになる.

 

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(夕陽に乾杯!しかしこれは高知の飲み方ではない)

 

3.   宴会の目的

 

司馬遼太郎は、「高知では議論を肴に酒を飲む」と述べている.

しかしこれは少し違うように感じる.

「議論のために酒を飲む」という方が近いように思える.

だがこれも少し違う.

高知に来て間もない頃宴会に出た.

盃を差し出す相手がしきりに意見を述べる.

宴会の喧騒の中で聴きとろうとするが、やかましくてわからない.

大変疲れる.

しかし何回かの内に、聴き取る必要などないことがわかってきた.

相手が意見を述べれば、それを上回る大声で自説を述べればよいのである.

一般に議論とは、お互いに意見を述べあって、それらをすり合わせ、よりよい結論を導く(アウフヘーベン)ことである.

高知の宴会での議論とは、一定の結論を導くことではなく、互いに自説を声高に主張することを意味している.

したがって、「意見を大声で言うために酒を飲む」というのが正しい.

宴会の人数が多いほど、相手が多くて張り合いがあるというものである.

 

 

 

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(仙頭酒造)

 

4.酒呑みの分類

 

高知の人は酒が強いと言われるが、いろいろである.

1)毎日大量に飲む

入院前の検査で、医師に「お酒は飲みますか?」と問われ、「毎晩5合ばあ飲んじょります」と胸を張って答えたという.

ただ、そのような人は少なくなっているように思う.

2)普段は飲まないが、何かあれば際限なく飲む

「何かあれば」の頻度が問題で、三日に一回かもしれないし、年に数回かもしれない.

今はこのタイプが多いように感じる.

近所の奥さんがウチのお母さんのところに来たが、ふらふらしているので、どうしたの、と訊くと

「昨日集まりがあってビール5,6本飲んだ」

「え~、どんな瓶?」

「大瓶に決まっているやないの」

ただこの人は年数回派ではないかと思われる.

3)全く飲まない

男性でも飲まない人は多い.

しかし、既に述べたように、宴席での酒は、議論を盛り上げるための促進剤、興奮剤である.

飲めなくても「飲まない!」と宣言すればそれで通る.

飲まなくても、飲んだと同様に、自説を声高に主張すればよい.

大体、飲めない人に酒を強要するなど、酒がもったいないと思っている.

 

(夜の盛り場、女性が多い)

 

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(おわり)

 

2015年1月27日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一