高知学95 室戸の海岸、廃校水族館と台地の産物

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室戸岬は太平洋に向かって突き出ている.

沖合140km辺りで、北に向かって動く海洋プレートが日本列島の陸地にぶつかり、下に潜り込んでいる.

陸が引きずり込まれるので、室戸岬はいま毎年7mm沈みつつある.

やがて限度が来て跳ね上がり、南海トラフ地震が発生する.

跳ね上がる量は1回で1.2-2mである.

100年ごとにこれが繰り返され、室戸岬の地形がつくられてきた.

 

2018年7月17日 最終版

 

(室戸岬)

 

1.断崖と台地

 

室戸岬の東と西では、海岸の様子が全く異なる.

 

(室戸岬の東岸)

 

東は海底に断層があり、山から急傾斜が水深1,000mまで落ち込んでいる.

 

(室戸岬の西岸)

 

西は長年に渡って泥や砂が積もった平らな海底が、そのまま隆起して台地になっている.

 

2.佐喜浜

 

東海岸は急傾斜の山が海に面し、湿気を含んだ風が直接当たって雨が多い.

そのため森林が豊かで、岬から北20kmの佐喜浜では森林鉄道が敷かれ、スギを搬出していた.

今も幹周り12mにもなる天然杉があるそうだ.

 

(加奈木の崩え.左の奥だが木が茂って判り難い)

 

しかし一方で山崩れを起こし易い.

加奈木の崩え(つえ)はその一つで、1707年の宝永地震によるとも、1746年の豪雨によるともされている.

 

(佐喜浜川)

 

本格的な治山工事は1916年に始まり、1964年に終わっているが、今も川には痕跡が残る.

 

3.  廃校水族館

 

一方、海底が急に落ち込んでいるので、多種類の魚が集まる.

そのため大規模な定置網(大敷網)による漁業が行われている.

椎名に元の小学校を利用した「廃校水族館」がオープンした.

 

(ウミガメとシュモクザメ)

 

25mと低学年用、二つのプールが屋外水槽として使われている.

「今日は何が入りました?」

「タコとサバ!」

水族館で交わす言葉ではないようだが、椎名の網に入った魚を、漁師さんが見つくろって入れてくれるのである.

ウミガメは度々入り、保護団体が計測してタグをつけて放す.

最近メキシコのタグをつけたカメが来た.

太平洋を横断して遊泳後、また戻って生まれた場所に産卵に来たらしい.

 

(サバ)

 

魚は周囲の状況によって色が変わるという.

サバがいるが、見慣れた鯖寿司色?ではないコバルトブルーもいる.

 

(ヨシキリザメ)

 

魚は、より大きな魚に寄り添うものらしい.

サメの背後に小魚がくっついている.

大きな魚に対して安全だし、傍にいても後なら食べられる心配はない.

入荷をしらせてくれる魚屋のメールに、

「くじらつきのカツオが入りました.イワシをたっぷり食べて太っています」とあった.

近くの港の漁師さんが言っていた.

沖には漁船くらい大きいクジラ(マッコウクジラ)がいるが、イワシやカツオを大勢引き連れている.

イワシはまずカツオにつくべきであった.

 

4. 台地

 

(国道)

高知市から室戸への国道55号線は、海岸のわずかな土地を通る.

海の反対側は急傾斜の山だが、この上が台地で、田畑や集落、国道と並行する道があるとはなかなか信じられない.

 

(台地への道)

 

台地に至る古くからの道は、照葉樹林の中を曲がりくねって上がって行く.

 

(広域農道から)

 

今は1.5車線の広域農道がつくられ、深い谷は雄大な鉄橋で越えているので困難なく到達できる.

しかし台地の中の道は畦道が進化したようなもので、軽トラ用である.

田畑は林の間に点在し、土地は平らなので先が見えない.

 

(台地の道)

 

林をあちこち曲がりながら進んで行くと、突然行き止まりになったり、農家の庭先で終わったりする.

 

(イモ畑)

 

台地はもともと水が得難いので、サツマイモが主な産物であった.

西山台地のイモはブランドになっている.

 

(太平洋を見下ろす水田)

 

傾斜がないので見通しが効かず、意外に海は端でないと見えない.

また意外に水田が多い.

どこでも昔から農業をやるなら稲作であり、そのためあちこちに溜池がつくられている.

 

(集落と溜池)

 

ビワ、ポンカンなどの果樹が育てられているが、茶畑もある.

室戸の玉露はイメージと違うようだが、温暖ながら標高200mで霧がかかるし、窪地があって風の心配も少ない.

日当たりが良く、海の荒波や行き交う車と隔絶された静かな別天地である.

 

(おわり)

 

 

2018年7月3日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一