四国を縦断して、背骨のように高い山が連なっている.
東には、徳島県の標高1,954mの剣山がある.
そこから西に、1,500mクラスの山が続く.
愛媛県の石鎚山は、西日本最高で1,982mである.
南は、石灰岩のカルスト台地である、1,485mの天狗高原である.
これらの山々が、各県の県境になっている.
石鎚山系の瓶ヶ森と天狗高原を訪ねてみよう.
山岳道路がある.
2016年11月 初版
2017年4月23日 修正版
1. 瓶ヶ森
(町道 瓶ヶ森線)
高い山の多くは、頂上かなり近くまで自動車道がある.
石鎚山には、北側からはロープウエイがあり、南側からは「スカイライン」で登ることができる.
ただし鎖を伝って登るなど、修行、登山の覚悟が必要で、観光気分では行けない.
愛媛県は、その瀬戸内沿岸がほとんど工場地帯になっているので、大変富裕である.
従って、県道の石鎚スカイラインは2車線で整備されている.
一方、瓶ヶ森は1,896mでやや低いが、車道から見通しの良い笹原を通って、頂上まで1時間もかからない.
小学生でも容易である.
こちらは高知県の領域で、194号線より石鎚に繋がる尾根を通る林道で行く.
林道は「いの町道」なので狭い.
しかし、広いと自然破壊は進む.
ときどき大きく崩れ、町が維持するだけでも大変である.
(沿道の山々)
北面から稜線にかけて、枝葉は桜が咲いたように白い.
似た高さの、屋久島、宮之浦岳は海から尖って聳えている.
海岸から頂上には直線距離で15kmほどである.
石鎚も海岸から山頂まで、同じような距離で近い.
石鎚山系は、あたかも屋久島が連なったような壁になって、海に面している.
北風は壁に当たり、急上昇し、急冷される.
そこで木々に霧氷を咲かせることになる.
(霧氷)
軽自動車で、山行きというより近所のスーパーに行く出で立ちの老婦人二人が歓声をあげている.
瓶ヶ森まで登るつもりであったが、ガスの中だ.
翌日にして、1,450mにある山荘に早々と向かった.
珈琲を飲みに立寄っているツーリングの若者たちはいるが、宿泊は我々だけである.
部屋を用意していただき、炬燵で昼寝やら持ってきた本を読むやら、夕方になった.
山荘は吉野川の源流域にあり、ブナ林から滲み出る水はまことに清冽である.
食後、薪の燃える前で、喉に染み入る水を肴に、白ワインを1本空けてしまった.
(山荘の火)
山荘の管理者の娘さんは小学生だが、通学では、麓に車で30分送ってスクールバスに乗せる.
バスは30分かかって学校に着く.
帰りも同じで、1時間以上はかかる.
町道は12月から積雪で通行止めになる.
山荘も11月末で閉ざし、一家5人は下に降りる.
(なお、山荘しらさは改装のため休館中)
(朝の石鎚山)
翌朝は晴れて、石鎚と海岸の町が見える.
管理者一家に見送られて、瓶ヶ森に向かう.
気温が高まり、霧氷が滴り落ちる.
(瓶ヶ森山頂)
2.天狗高原
四国の山は石灰岩質のところが多い.
天狗高原は、侵食され、広大な土地に石灰岩が点々と露出するカルストになっている.
昔は焼畑農業が行われたが、現在は一面ススキの原になっている.
(天狗高原)
(夕暮れのカルスト台地)
登るにはいくつかのルートがある.
一般的には、197号から2車線の東津野城川林道を通る.
地図などでは、国道、県道を通るルートが示されるが、こちらは逆に狭くて、屈曲が多い.
林道は、1969年に計画がつくられた、土佐清水から伊野北部に至る、延長188kmの幹線林道計画の一部なのである.
本来の伐採、運搬の用というより、観光路線になっている.
これより北にある小田池川林道も、同じように大規模だが、どこにも繋がっていないので交通量はゼロに近い.
繋がれば観光路線になる要素はあるのだが.
今回は梼原から、龍馬脱藩の道、韮ヶ峠に上がった.
高原の道は、尾根を緩やかなうねりで続いている.
春から夏は牛が放牧されるが、今は牛舎に戻っている.
(宿舎の朝)
高原には国民宿舎の天狗荘がある.
山の上に旅館があるイメージで、格別変わってはいないが、夜には星の観察会がある.
高知市内から車で2時間程度、町営バスもあり、日帰りが十分可能である.
泊り客も多い.
山上の道は冬季閉鎖されるが、ここは年中の営業である.
ただ下から登る車道には、厳冬に積雪、凍結がある.
(橇遊び)
高知で雪遊びができるところはほとんどない.
ここには元スキー場の斜面があり、子どもたちがレンタル橇で遊ぶ.
上は結構急斜面で、速度が出てひっくり返ったり、ぶつかったりしているが、高知ではすべて自己責任である.
高原で泊まるには晴天に限る.
雨なら雲の中である.
秋の朝、日の出前5時半には、ほとんどの泊り客が表に出てくる.
朝日が昇る.
(高原の朝日)
低い谷間は雲海である.
(麓を見下ろす)
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(おわり)